「「新飛行ルート問題」は区民に十分伝わっているか?」という記事のなかで、国交省が15年度に関係自治体の住民を対象に実施した「オープンハウス型」の説明会には約1万1千名しか来場しなかったことを記した。
新飛行ルートにより、ルート直下の多くの住民は騒音の影響を受けることになる。でも、来場者約1万1千名では、この問題の情報が十分に共有されているとは言えないだろ。
- 「新飛行ルート問題」が共有化されていない2つの原因
- 来場者が多かった「新宿駅周辺」と「大井町駅・大崎駅周辺」会場でさえ高々2千人程度
- 麻布・恵比寿・渋谷付近は「主要幹線道路周辺(昼間)」~「地下鉄車内」並みのうるささ
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「新飛行ルート問題」が共有化されていない2つの原因
共有化されていないことの原因は2つ考えられる。
ひとつは、国交省が発信している情報がバラバラで、どこにどんな情報があるのか分かりにくいこと。
国交省が運用している「羽田空港のこれから」 というサイトはあるが、その存在を知っている区民がどれほどいるのか?
※どこにどんな情報があるのかまとめておいた(羽田空港の機能強化とは?「新飛行ルート問題」早わかりサイト(まとめ))
2つ目は、マスメディアがこの問題を的確に伝えていないこと。
というか、ほとんど伝えていないのではないのか?
朝日の社説(8月13日)が羽田経路変更を論じた数少ない記事のひとつではあるが、「両者(国交省と関係自治体)はともに責任を自覚し、丁寧に手続きを進めてほしい」というオチでは、当たり前すぎて何も言っていないに等しい。
朝日の記者は技術音痴なのか、あるいは国の思いを忖度した結果なのか・・・・・・。
関係区民に少しでも情報が伝わりやすくなるよう、「羽田新飛行ルートによる地域への影響を可視化」に続き、さらに分かりやすく可視化してみた(つもり)。
来場者が多かった「新宿駅周辺」と「大井町駅・大崎駅周辺」会場でさえ高々2千人程度
来場者約1万1千名の内訳は、どうなっているのか?
各会場の来場者数情報は、国交省が運用している「羽田空港のこれから」というサイトの「お知らせ」のなかの次のリンク先に埋もれている。
- 2015.11.17 羽田空港機能強化に関する説明会(第1フェーズ)の結果概要について
- 2016.04.19 羽田空港機能強化に関する説明会(第2フェーズ)の結果概要及び環境影響に配慮した方策の検討
各リンク先をたどっていくと、各会場の来場人数の内訳が分かる(次図)。
上図のデータを元に、会場別に来場者数を集計した結果を次表に示す。
来場者が多かった「新宿駅周辺」と「大井町駅・大崎駅周辺」会場でさえ高々2千人程度でしかない。
さらに問題となっている南風時の着陸ルート図(QA集P44:PDF27MB)に、会場別に来場者数のグラフを重ねたのが次図。
羽田空港に近い会場(川崎・蒲田・大井)は、来場者がやや多いという状況。
麻布・恵比寿・渋谷付近は「主要幹線道路周辺(昼間)」~「地下鉄車内」並みのうるささ
同ルート図に騒音レベルのグラフも重ねてみた(次図)。
大井埠頭・大井町付近は「地下鉄車内」程度にウルサイ。
麻布・恵比寿・渋谷付近は「バスの車内」~「主要幹線道路周辺(昼間)」並みのうるささである。
新宿、中野付近、埼玉県南部でようやく「ファミレス店内」~「バスの車内」並みのうるささになる。
なお、騒音レベルの目安は、環境省の「一般環境騒音について」のページの「騒音の目安について」に掲載されている次図に拠った。