厚労省と国交省で議論を進めていた「民泊の制度設計のあり方」の最終案が6月20日にようやくまとまった(「民泊の制度設計のあり方について(最終報告書案)」を読む )。
ただ、民泊新法や改正旅館業法が施行されるのはもう少し先になる(同法案が国会に提出されるのは今年度中とされている)。
そのような国のゆっくりした動きに対して(民泊質疑!答えにならない答えを連発する河野大臣)、観光都市京都の動きは素早くかつ鋭い。
パリの二の舞になることを恐れているのであろうか(パリの「民泊」がトンデモナイことになっている)。
京都市のこれまでの民泊への対応
京都市ではこれまで、違法民泊に対して数々の対応を取ってきている。
- 15年11月4日:京都府警が悪質な民泊を摘発
- 15年12月1日:京都市が民泊対策プロジェクトチーム設置
- 16年5月10日:「京都市民泊実態調査」結果を公表
- 16年5月12日:京都市長・市議会あげての口コミ介入
- 16年5月25日:「民泊110番」を開設することを発表
- 16年6月21日:自治体の裁量を求める要望書を国に提出
京都市HPに違法民泊ホストへの脅し文句?
京都市はさらに6月9日に「民泊の利用及び提供に当たって(重要)」という文書をホームページに公開し、「旅館業法違反には、罰則も規定されています」とわざわざ脅し文句(?)まで明記しているのである(次図のピンク着色部分)。
民泊相談窓口の業務委託のガッカリ
門川大作京都市長が5月25日の市議会で答弁した「悪質な事業者は断じて容認できない。市民からの情報を1カ所で受ける窓口を設ける」(民泊110番)の話はその後どうなったのかと調べてみたら――
なんと、6月16日に市のホームページで「民泊相談総合窓口(仮称)運営業務に関するプロポーザル」の募集(〆切は6月28日)が行われているではないか。
おおっ、なかなかやるではないかと思って「応募要領等」を読んでみて、少しガッカリ。
業務概要
利用者からの電話による通報・相談等(問い合わせ、苦情も含む)については、オペレーターが必要事項を聞き取り、即座に関係部局に供覧する。
利用者への対応は、定型的な内容の場合、オペレーターが対応する。それ以外のものについては、所管課に内容を伝える。
これらの流れは、FAX及び電子メールも同様とする。その他、オペレーターは、通報・相談等の取りまとめや報告、その他各種対応、事前研修の受講等を行う。
委託金額450万円を上限に、年中無休(ただし年末年始を除く)で10時~17時まで、市が準備するスペースで電話番1名を張り付ける(FAXと電子メールは24時間受け付け)業務委託ではないか。
まあ、人件費の高い職員が電話対応するよりも、外注の安い人件費で処理するほうが経済合理性があるのは確かだが。
ここはもっと民間のITの力を活用するくらいのことを期待したい(違法民泊ホストはガクブル!「民泊ポリス」出動)。
※「民泊ポリス」からお金を貰って宣伝しているワケではありません。念のため。
とはいえ、特区民泊条例を施行した大田区や大阪府とは一味違う観光都市京都の「民泊対策」から目が離せない。
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