大田区の特区民泊の認定状況を伝える二つのニュース。
「引き続き、着実に認定物件は伸びていく」という区の担当者
ひとつは認定物件が4月25日時点で30室超えたことを伝える毎日新聞のニュース。
大田区認定、30室を超える
国家戦略特区制度に基づいて、今年2月に全国で初めて「合法的な民泊制度」を始めた大田区は25日、認定物件が計30室を超えたと発表した。
区によると、同日までに認定されたのは一戸建て5物件とマンション6物件(計29室)の計11物件・34室。申請中で認定待ちの物件や、消防が指導中や業者が周辺住民に説明中のものなど今後申請が見込まれる物件が複数あるため、区の担当者は「引き続き、着実に認定物件は伸びていくと思われる」としている。
(毎日新聞 4月26日)
もう一つは、(株)AMBITIONが管理している物件「セジョリ池上」が事業認定を受けたことを伝える朝日のニュース。
AMBITIONが反発、大田区の物件が特区民泊事業認定
東証マザーズのAMBITION(3300)が3営業日ぶり反発。一時は前日比230円(10.3%)高の2,470円まで買い進まれた。26日午前8時30分、4月1日から施行された東京都大田区の特区民泊事業に申請していた当社管理物件「セジョリ池上」が事業認定を受けたと発表。これが材料視された。(以下略)
(朝日新聞デジタル 4月26日)
(株)AMBITIONのプレスリリースによれば、セジョリ池上(2015年12月竣工、7階建て、総戸数18戸)の13戸を特区民泊事業用物件として大田区に申請し、4月25日に事業認定を受けたとされている。
ひと月前(4月1日)の朝日の記事(下記)では、「とまれる」社の2件を含めても6件どまりだったのに、この1か月で認定件数が急に増えたことなる。
大阪府も民泊特区に 制度スタート、申請第1号
(前略)民泊は1月に東京都大田区で始まったが、先月末までの認定件数は「とまれる」の2件を含めても6件どまり。
(朝日新聞デジタル 4月1日)
詳しくは、「大田区Airbnb登録物件の増加に急ブレーキ!」参照。
「引き続き、着実に認定物件は伸びていくと思われる」という大田区の担当者のコメントがどうも引っかかる。
認定された「11物件・34室」の実態
4月25日までに認定されたという「一戸建て5物件とマンション6物件(計29室)の計11物件・34室」の内容を調べてみよう。
大田区や大阪府の民泊申請第1号の「とまれる(株)」が運営している「STAY JAPAN」サイトをひも解くと、大田区の物件としてはマンション5件(15室)、一戸建て5件が掲載されていることが分かる(予約受付の準備中を含む)。
2社(とまれる(株)と(株)AMBITION)が認定を受けた内訳を整理すると次表のようになる。
なんのことはない、大田区が認定した物件は、ほとんどこの2業者の物件なのである(毎日新聞の記事の数字と上表には1室のかい離はあるが)。
大田区のAirbnb登録物件は再び増加
筆者が独自に調査した大田区内のAirbnb登録物件数の推移を次図に示す。
昨年10月に大田区の民泊条例の検討が世間に周知されて以降、「民泊条例制定(12/7)」や「民泊申請受付開始(1/29)」といったイベント報道にも係らず、Airbnbのアパート(Airbnbでは「マンション」とは呼ばない)の登録件数は増加し続けていた。
4月1日に施行された旅館業法改正で様子見だったのか、3月は増加が止まったものの、4月に入って急増。
4月の1カ月間で、214件(4月1日)から258件(5月1日)へと44件(20.6%)増加しているのだ。
とまれる(株)と(株)AMBITIONの物件はAirbnbに登録されていないので、この1か月間で増加した44件の大半は違法民泊である可能性が高い。
大田区では、2業者による合法民泊33室(あるいは34室)を上回る勢いで違法民泊が増えているのだ。
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(本日、マンション広告なし)