朝日新聞がマンション・アパート管理支援業務を始めるという。
新聞販売店がマンション・アパート管理支援業務を開始
株式会社朝日新聞社(代表取締役社長:渡辺雅隆)は、マンションやアパートなどの管理業務を請け負うベンチャー企業、アクシスモーション株式会社(代表取締役: 田中祥司)と業務・資本提携しました。
これに伴い、新聞を販売する朝日新聞サービスアンカー(ASA)がマンション、アパートなどの管理支援業務を始めます。 (以下略)
(朝日新聞社 4月26日)
朝日新聞社(以下、朝日)はいつから不動産業者になったのか?
EDINETで入手可能な直近5年分の有価証券報告書をひも解き、朝日の収益構造を調べてみた。
売上高は「新聞出版事業」セグメントがダントツ
朝日の事業セグメントは、「新聞出版事業」「賃貸事業」「その他事業」の3つ。
売上高は、「新聞出版事業」がダントツに多い(次図)。
この5年間は4千億円超を売り上げている。
「賃貸事業」の売上高は、「新聞出版事業」と比べると一桁少ない。
利益額では副業(賃貸事業)が本業(新聞出版事業)を逆転
ところが、利益額・率で見てみると様相が変わってくる。
「新聞出版事業」の利益率が1%前後であるのに対して、「賃貸事業」の利益率は二桁なのだ。
しかも「新聞出版事業」の利益額はこの3年間減少し続けているのに対して、「賃貸事業」のほうは増加し続けている。
15年3月期の利益額は、遂に副業(賃貸事業)が本業(新聞出版事業)を逆転してしまったのである。
不動産で儲けて言論の自由を確保するというビジネスモデル
なぜ、「賃貸事業」の利益は伸びているのか?
15年3月期の有価証券報告書にそのヒントが隠されている。
賃貸事業
(前略)中之島フェスティバルタワーは開業3年目を迎え、安定稼働期に入った。
14年6月に中之島フェスティバルタワー・ウエストの建設に着工し、完成は17年春の予定。
建て替えを進めている銀座朝日ビル(仮称)は、新ビルの建設を15年3月に発表し、17年秋竣工をめざして解体工事に着手した。
12年11月に竣工した中之島フェスティバルタワー(39階建て)が順調に利益を生み出しているのであろう。
さらに今後竣工する中之島フェスティバルタワー・ウエストや銀座朝日ビル(仮称)が朝日の経営の屋台骨を支えることになるのだろうか。
言論の自由を確保するために、不動産で稼いで経営を安定させるというビジネスモデルは必ずしも悪いことではない。
ただ、副業(不動産事業)の利益が本業(新聞出版事業)を上回っているという事実は、あまり知られていないのではないだろうか。
このあたりについては、朝日の紙面でシッカリ伝えてほしいものだ。
ちなみに、朝日、毎日、日経は有価証券報告書を開示しているが、読売、産経は開示していない。
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