老後破産して(老後破産:長寿という悪夢(新潮社))、下流老人(下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書))にならないためには、金融リテラシーを高める必要がある。そのためには日ごろから、経済情報に接する努力が欠かせない。
毎日膨大な量の経済情報をツイートをされている清水功哉氏(@IsayaShimizu)が先月末に『緊急解説 マイナス金利(日経プレミアシリーズ)』を上梓されたのでさっそくアマゾンで購入。
山崎元氏(経済評論家)や橘玲氏(投資や経済に関するベストセラー作家)との住宅を購入することに対する考え方の違いを読み比べてみた。
ざっくり言うと
- 清水功哉氏(日経新聞編集委員):最終的には各自の金利観で決めるべき
- 山崎元氏(経済評論家):不動産物件を買ってしまうことによる自由度の低下は小さくない
- 橘玲氏(投資や経済に関する本のベストセラー作家):購入よりも賃貸
清水功哉氏(日経新聞編集委員):最終的には各自の金利観で決めるべき
マイナス金利政策の導入の意味合いが、全5章で、素人にも分かりやすく解説されている。
- 「円高圧力を消せ」ー導入の内幕
- 経済刺激どこまで ー仕組みと効果
- 予想外の円高・株安 ―日銀の誤算とは
- 「劇薬」に7つの副作用の懸念 ―「経済の血液」の流れが滞る?
- 資産運用をどう変える ―コスト重視をリスク回避
特に第5章の後半では、当ブログの読者の関心が高そうな住宅ローン関連に数多くのページが割かれている。
- 住宅ローン減税とのセットで「マイナス金利」を実現
- 「マイナス金利」は常に実現するとは限らない
- 金利は固定か変動か
- 固定型金利は「保険料」が上乗せされているようなもの
- 負担軽減へローン借り換えの好機
金利は固定か変動か――
固定金利か変動金利か。最終的には各自の金利観で決めるべき話であり、今の時点で確定的な結論を言えるような話ではない。
そもそも、どちらがトクかについて現時点で確かなことがわかっているなら、固定と変動の両タイプの商品が存在しているはずはないのだ。
(「緊急解説 マイナス金利 」P166)
「最終的には各自の金利観で決めるべき話」なので、やはりここは金融リテラシーを高めていくしかないのである。
山崎元氏(経済評論家):不動産物件を買ってしまうことによる自由度の低下は小さくない
「全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)」や「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!(文響社)」など、歯切れの良い解説でベストセラーを連発している山崎元氏は、「全面改訂 超簡単 お金の運用術 (朝日新書)」のなかで、「住宅も利回りを考えるべき『資産』だ」という経済評論家らしい一般的な説明をした後、筆者の価値観であると断ったうえで、不動産を買うことで失う「自由度」に言及している。
これは筆者の価値観だが、一人の具体的な人生を考えると、不動産物件を買ってしまうことによる自由度の低下は小さくないように思う。財務的な自由度も低下するし、生活の自由度も低下する。どの場所のどんな物件に住んでいることがベストなのかということは、人生を通じて変化するものだ。
(「全面改訂 超簡単 お金の運用術」P175)
橘玲氏(投資や経済に関する本のベストセラー作家):購入よりも賃貸
さらに明快に言い切っているのは、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ(幻冬舎)」などの投資や経済に関する本のベストセラー作家橘玲氏。
リスクの観点から、購入よりも賃貸に軍配を上げている。
不動産を借りているだけなら、地価が暴落しても、隣に暴力団やカルト宗数団体が引っ越してきても、津波で家が流されたり地盤が波状化しても、なんの問題もない。
不都合があれば賃貸契約を解除して出て行けばいいだけだからだ。
それに対して不動産を所有していると、こうしたリスクのすべてに自己責任を負わなければならない。その代償として、地価が上昇したときにその果実を手にすることができるのだ。
このように考えれば、リスク耐性の高い企業やファンドが不動産を保有し、リスク耐性の低い個人はそれを賃借した方が経済的に合理的だ、ということになる。(「臆病者のための億万長者入門」 P174)
詳しくは、「橘玲、「マイホームと賃貸、どちらが得か」に決着をつける」ご参照。
熊本地震による建物の被災状況を知るにつけ、身動きの取りやすい賃貸も有力な選択肢であると思うようなった今日この頃である。
(本日、マンション広告なし)