不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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一歩先を行く!海外のAirbnb情報分析サイト

日本でもAirbnbサイト内をクローリングして得られたデータを分析し、情報提供を行うサービスサイトが増えてきた。

国内外のサイトをいくつか紹介しよう。


もくじ

まずは国内サイトから。

国内のAirbnb情報分析サイト

運用開始時期の早い順に紹介する。

AirbDatabank(運用開始:2015年12月27日)

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http://airbdatabank.xyz/

「本日の掲載件数」「本日の稼働件数」「本日の稼働率」「稼働物件の平均宿泊料」といった最近の数値データだけでなく、半月前から1か月先の「稼働率推移」や「稼働物件宿泊単価推移」のグラフも表示される。

このブログでもAirbnbの定期観測記事(1都2府で全国の4分の3を占める!Airbnb登録件数(4月1日現在))に利用させていただいている。

 

AirLABO(運用開始:2016年3月26日)

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http://airlabo.jp/

AirbDatabankと比べて、AirLABOの良いところは、全国の市区町村単位のデータが表示されることや、物件タイプ(マンション、一軒家、ほか)データが表示されることのほか、それらの直近12カ月分のデータが表示されること。しかも無料。
詳しくは、「Airbnb物件データを可視化したサイト「AirLABO」」参照。

 

AirDNA ジャパン(運用開始:2016年4月15日)

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https://airdna.jp/

現在公開されているのは、東京都と大阪府のデータのみ。5月中旬以降、全国各地域のデータに対応。今期中に中国版民泊の「Tujia(途家)」も対象とする予定だという。

詳しくは、「地図表示が秀逸!民泊データ分析サイト「AirDNA日本版」」参照。

 

BnB Insight(運用開始:2016年5月(予定))

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https://bnbinsight.com/

情報提供内容の詳細は文章で記されているものの、現時点において具体的なデータは全く表示されていない(無償の範囲では何も表示されないのか?)。

データは5月から提供開始予定となっている。

 

海外のAirbnb情報分析サイト

AirDNA(AirDNA ジャパンの提携先)

「AirDNA ジャパン」が独占契約を締結している本家AirDNAサイト。
詳しくは、「本家AirDNA(本社:カリフォルニア州サンタモニカ)」参照。

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http://www.airdna.co

 

Inside Airbnb(非営利のAirbnb分析サイト)

Airbnbが世界中の都市でどのように利用されているのかを調べるためのデータを提供している非営利サイト。

NYに住むフォトジャーナリストのMurray Cox氏と理論化学の博士号を持つTom Slee氏らボランティアによって運営されている。

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http://insideairbnb.com

 

Inside Airbnbサイトにアクセスし、画面をスクロールしていくと、世界の主要な都市のAirbnb分析データ・リストが表示されている(次図)。

残念ながら、日本のリストはない。「アジア太平洋地域」は、オーストラリア(メルボルン、シドニー)しか表示されていない(4月19日現在)。

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たとえば、Paris(パリ)をクリックすると、Airbnbに登録された物件の分布図とともに、右サイドに物件数のほか、1泊平均価格や推定所得、マルチリスト(ホスト当たりの物件登録数)の割合、登録数の多いホストランキングなどが表示される(ただし、リアルタイムではなく、特定の日時のデータ)。

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このサイトのスゴイところは、上図で用いられたデータがcsv形式などのファイルで公開されていることだ(次図)。

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Tom Slee(Airbnbのソースコードを解説している個人サイト)

Airbnbサイトをクローリングしてデータを収集するための手法を解説しているTom Slee氏の個人サイト。
Tom Slee氏は、上述した「Inside Airbnb」サイトを技術的にサポートしている理論化学の博士号を持つエンジニア。

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Airbnb Data Collection: Methodology and Accuracy – Tom Slee

 

Airbnb情報分析サイトを構築しようとしているエンジニアにとっては、とっても参考になるサイトであろう。

 

その他にも、Airbnb情報分析サイトを構築するために役立つソースコードを公開しているサイトがいくつかある。

GitHub(Airbnbサイトの分析ソースコードを公開しているサイト)

ソフトウェア開発プロジェクトのための共有ウェブサービスGitHubに、Airbnbサイトをクローリングしてデータを抽出するためのソースコードが公開されている。

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Crawler and data extractor for airbnb.com website · GitHub

 

blablup.com(Airbnbサイトの分析ソースコードを公開している個人サイト)

ロシア在住のエンジニアが運営している個人サイト。

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Extraction Of Apartments And Rooms From The Airbnb Site. | Crawling, Parsing, Scraping Internet Sites.

 

なぜ、海外サイト(Inside Airbnb)は非営利でここまでやるのか?

なぜ、海外サイト(Inside Airbnb)は非営利でここまでやるのか?

Inside Airbnbサイトのトップページに、Murray Cox氏らボランティアの思いが読み取れる。

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Airbnbは、シェアリング・エコノミーであり、ホテル業界を崩壊させていることを主張している。

でも、データは、多くの都市でAirbnb物件の大半は一年中貸し出されている住宅であって、住居やコミュニティを崩壊させていることを示している。

Airbnb claims to be part of the "sharing economy" and disrupting the hotel industry.

However, data shows that the majority of Airbnb listings in most cities are entire homes, many of which are rented all year round - disrupting housing and communities.

 

Airbnbが住居やコミュニティを崩壊させていることを明らかにするために、その分析のためのデータを広く提供していこうということなのであろう。

 

AirbnbとInside Airbnbとの攻防

Tom Sleeサイトを読んでいると、AirbnbとInside Airbnbとの熱い攻防が感じられる。

Tom Slee氏は、技術解説のなかで、Airbnbが同サイトの分析をより難しくしてきていると述べている。

Source code was originally available at Github, but as Airbnb have made it more difficult to search their site I have stopped making it available.

 

ニューヨーク・タイムズやガーディアンなど、大手メディアもAirbnbとMurray Cox氏(Inside Airbnbサイトの運営者)との攻防を伝えている。

 

なお、Tom Slee氏は、Airbnbでビジネスをしようとしている人ではなく、重要な研究をしている人にデータのコピーを喜んで提供すると述べている。 

If you want a copy, please send me an email.

I’m generally happy to give a copy to people who are doing critical research, but not to people who want to set up a business on Airbnb.

 

Airbnbのデータ分析で一儲けしようとしている人は日米ともに多いが、Airbnbのデータ分析を通じて、手弁当でも社会問題を解決しようと考える日本人は今のところ少ないようだ。

 

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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