不動産情報ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンション広告履歴から垣間見えるズサンな販売計画

生命保険会社の事務所跡地に建つ大規模マンションのチラシ。

物件概要

【第2期 先着順】大手町駅直通9分、駅徒歩5分。総戸数522戸、15階建。販売戸数9戸、2LDK(54.88m2)~4LDK(83.59m2)。販売価格4,790万円~8,690万円。平成28年10月下旬竣工(本チラシ掲載日の6か月後)。

  • ※2015年5月1日(金)・10月16日(金)・11月27日(金)、2016年1月1日(金)・1月23日(土)の物件と同じ。

 

チラシ裏面の「物件概要」に目を凝らすと、「竣工予定日」と「入居予定日」の大きなかい離(半年!)に気が付く。

  • 竣工予定日:平成28年10月下旬
  • 入居予定日:平成29年4月下旬

なぜ、建物が竣工してから半年も経たないと入居できないのか?

とっても気になるので、SUUMO(首都圏版)のバックナンバーをひも解いてみたところ、ズサンな販売計画が見えてきた。


もくじ

ズサンな販売計画(その1:入居時期を半年延伸)

横軸をSUUMOの発行日、縦軸を「販売時期」「完成時期」「入居時期」の各予定日として描いたのが次図。

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第1期1次の予告広告が最初にSUUMOに掲載されたのは14年11月18日号。そのときは完成時期(16年10月下旬)と入居時期(16年12月下旬)の開きは2か月であった。

ところが、5か月後に発行されたSUUMO15年4月28日号で、第1期1次の販売時期が5月下旬から6月上旬へと1か月延伸されると、その約1カ月後(6月2日号)には入居時期が3か月延伸された。その結果、完成時期(16年10月下旬)と入居時期(17年3月下旬)の開きは5か月に広がった。

第2期の予告広告でも、第1期1次の予告広告と同様、販売時期が延伸されるなかで(当初の15年9月下旬が16年2月9日へと4か月あまり延伸)、SUUMO16年1月12日号において、入居時期がさらに1か月延伸された。その結果、完成時期(16年10月下旬)と入居時期(17年4月下旬)の開きは遂に半年にまで広がった。

以上の経緯を踏まえると、完成時期と入居時期に半年間ものかい離がある理由として、つぎのようなことが考えられる。

第1期1次も第2期も、途中で何度も販売時期が延伸され、売れ行きが芳しくない。「完成時期の2か月後を入居時期としたのでは、空き住戸が目立ちすぎて、販売戦略的にも防犯的にもよくない」と売主が判断したのではないのか。

購入者にとっては、春休みに引越しするのと、ゴールデンウィーク中に引越しするのとでは大違いであろう。

売主にとっても、年度内に売り上げが立つのか、次年度の売上になるのかは大きな違いだと思うのだが。

ちなみに、完成時期と入居時期の開きは短ければいいというものではない。

筆者の調査(14年6月)によれば、「1カ月以下」の物件が46%と最も多く、「1カ月超~2カ月以下」の物件が38%と続く。

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「竣工時期」と「入居予定時期」のズレを確認しよう!」より

 

ズサンな販売計画(その2:「第1期2次」~「第1期10次」の広告は?)

先ほどのグラフでは、第1期1次の販売時期(青色折れ線)と第2期の販売時期(赤色の折れ線)との間に、若干の空白がある(次図のピンク着色部分)。

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実は、SUUMO15年12月15日号の「第1期11次」の予告広告(販売戸数未定)において、「12月下旬販売開始予定」と掲載されていた。

ここには二つの問題が潜んでいる。

「第1期11次」の「本広告」が出されていない

一つ目の問題は、「第1期11次」の「本広告」が出されていないことだ。

業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」第9条2項には、「予告広告を行った媒体と同一の媒体を用い、かつ、当該予告広告を行った地域と同一又はより広域の地域において、本広告をしなければならない」と規定されている。

だから、12月15日号に「第1期11次」の「予告広告」が掲載された後、「第1期11次」の「本広告」がSUUMOに掲載されていないのは、あきらかな規約違反なのだ。

 

「第1期2次」~「第1期10次」の広告はどこへ行ったのか?

二つ目の問題は、「第1期1次」の次に、いきなり「第1期11次」の予告広告が掲載されていること。「第1期2次」~「第1期10次」の広告はどこへ行ったのか?

第2期の予告広告(15年8月18日号)が出た後、「第1期11次」の予告広告(15年12月15日号)が出るまで約4か月の間、「第1期2次」~「第1期10次」の広告が掲載されていないのだ。

「第1期2次」~「第1期10次」の広告がSUUMOに掲載されていないことは必ずしも規約違反とは言い切れないが――
第2期の予告広告で集客し、取ってつけたように「第1期2次」「第1期3次」・・・と小分けにして販売するのは手の込んだ規約違反ではないか。

抽選方式で販売するという第1期の広告で集客しか顧客に対し、第2期以降の販売予定住戸を先着順で販売することは、顧客の焦りを誘発して契約約に結びつけよくうとする「あおり広告」であると同時に、表示規約第8条(必要心表示事項)の規定上からも問題がある販売方法です。

(不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会「不動産広告の実務と規制 11訂版」P268)

 

※被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、 亡くなられた方やそのご遺族の皆様にはお悔やみ申し上げます。

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