不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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大阪・京都のマンション事情(平成27年第4四半期)

国土交通省は2月26日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」を公表。

同レポートは比較的バイアスがかかっていない、新築マンションの市況を知り得る数少ない情報だ。

大阪、京都の新築分譲マンションの価格動向を中心に、「鑑定評価員のコメント」をピックアップしておこう。

もくじ

 

大阪圏の地価動向

大阪圏(25)では、上昇が 23 地区(前回 22)、横ばいが 2 地区(前回 3)となり、9 割超の地区が上昇となった。

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「平成27年第4四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」より

 

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「平成27年第4四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」を切り貼り

 

京都府

京都市(中京区/二条)

市内中心部等におけるマンション販売価格は上昇傾向が続いている。

  • 当地区は堀川通以西に位置することから住宅購入者は市内中心部等への交通利便性を重視する一般所得者層が中心となっている。
  • 当地区を選好する購買者層の所得水準に大きな変化はなく、新築マンションの分譲価格及び販売状況は従来と変化は見られず、また、賃貸マンションの賃料水準も特に変化は見受けられない。
  • 一方、二条駅に近接する中古マンションの取引価格が上昇傾向にあるほか、京都市内中心部の取引価格の上昇も影響し、当期は相場より高値の売買も見られた。
  • このような背景から、取引価格は上昇傾向となっており、当期の地価動向はやや上昇に転じている。
  • 今後もマンション素地及び分譲マンションの供給は少ない状態が継続することが予想される。
  • 当地区のマンション需給動向は最終需要者層である一般所得者層の所得環境の変化に依存するものの、市内中心部等におけるマンション販売価格は上昇傾向が続いており、当地区においても一部ではあるが中古マンションの取引価格が上昇傾向となった。
  • これらの背景から、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

京都市(中京区/下鴨)

全般的に取引件数は少ないが、取引価格は概ね横ばいで推移している。

  • 相変わらず物件供給は少ない状況が継続しており、特に規模のまとまったマンション素地の供給はほとんど見られない。
  • 地下鉄烏丸線北山駅徒歩圏内の住宅地は、富裕層を中心に需要は安定しているが、売り希望価格、買い希望価格ともに大きな変動は見られない。
  • 幹線道路沿いのマンション等の物件についても同様の状況であるが、幹線道路背後の住宅地以上に物件供給は限定的であるため、目立った取引も見られない。
  • 投資物件については、富裕層を中心に小型投資物件への投資意欲は相変わらず旺盛である。取引件数は少ないため取引利回りの把握は難しいが、取引価格は横ばい、賃料は概ね横ばいで推移していることから、取引利回りも横ばいで推移している。
  • マンション分譲価格についても大きな変動は見られない。全般的に取引件数は少ないが、取引価格は概ね横ばいで推移しており、地価動向は横ばいで推移している。
  • 幹線道路沿いの物件供給は背後の住宅地以上に限定的であるが、土地需要は背後の住宅地に比べると相対的に弱く、幹線道路背後の住宅地と同様に、地価も横ばいで推移している。賃貸需要についても、あまり変動の無い地域であり、賃料水準の変動も見られない。価格形成要因に大きな変動は見られないことから、今後も同様の状況が続き、将来の地価動向は横ばいが続くと予想される。

 

京都市(西京区/桂)

小規模な賃貸マンションの取引が散見される程度である。

  • 当地区は桂駅東口に位置する高級住宅地であるため、需要の中心は自己使用を目的とする高額所得者層であり、投資需要は限定的で少ない状況に変化はない
  • 当地区を含む桂駅勢圏下では小規模な賃貸マンションの取引が散見される程度であり、取引利回りに特段の変化はなく、またマンション賃料の水準も横ばいで推移していることから、不動産の収益性に大きな変動はない。
  • また、自己使用を目的とする住宅地の需要動向にも変化が見られないことから、当期の地価動向は前期に引き続き概ね横ばいで推移した。
  • 当地区においては、洛西口駅及び桂川駅界隈への住宅需要の流出が懸念されていたが、洛西口駅及び桂川駅界隈の大規模共同住宅の開発は概ね終了したため影響は軽微であった。
  • また、当地区は利便性と住環境が優れた成熟した住宅地で、洛西口駅及び桂川駅界隈における大規模商業施設の開業により当地区の生活利便性はさらに向上することが期待されるため、当地区のマンション賃料が下落する可能性は低い。
  • また、その他に今後のマンション賃貸市場に影響を与える特段の要因も見当たらず、自己使用目的の住宅地の価格形成要因にも特段の変化は見られないことから、将来の地価動向は当面は横ばいと予想される。

 

大阪府

大阪市(福島区)

企業の移転・廃業等に伴う供給がほとんどで、供給が少ないため取引価格は強含みの上昇傾向で推移している。

  • 平成27年度中には当地区周辺で貸家建付地の取引事例は散見されたものの、直近のマンション開発素地の取引は確認できなかった。
  • 当地区は、福島駅とともに梅田エリアの商業集積地の徒歩圏に存し、マンション需要者の選好性が高いことから、デベロッパー等の取得意欲は依然衰えを見せていない。
  • 福島駅周辺においては、飲食店等の店舗の進出も盛んで、当地区を含む背後住宅地区のマンション人気を支える要因となっている。規模のまとまったマンション素地については、企業の移転・廃業等に伴う供給がほとんどで、供給が少ないため取引価格は強含みの上昇傾向で推移している。
  • また、当地区においては、賃貸マンションの供給も多いため、賃料動向に大きな変化はないものの、稼働率の高さは維持されており、機関投資家等の賃貸マンションに対する投資需要も引き続き強い。そのため、地価動向はやや上昇で推移している。
  • 当地区は、梅田エリア等の徒歩圏にあり、中古・新築とも分譲マンションの人気は高く、賃貸マンションも単身者や夫婦二人の世帯を中心に人気の衰えは見られない
  • 建設費の上昇も落ち着きを取り戻しており、当地区において継続的に事業展開を目指すデベロッパーや機関投資家等の開発素地・マンション等に対する開発素地需要や賃貸マンション等の投資需要は依然として強い。
  • これらのことから、今後も分譲目的や投資目的の素地需要や投資需要は強く、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

大阪市(天王寺区/天王寺)

新築マンションの販売価格は建築費の高騰分を転嫁して上昇傾向にあるが、売れ行きは富裕層の堅調な需要を背景に概ね好調。

  • 当地区におけるマンション素地等に係る直近の土地取引は確認されなかった。
  • 供給は依然として少なく需要超過の状態にあり、当地区周辺を含む大阪市中心部では築年数の経過したオフィスビルをマンションに建替える事例が多く見られる等、立地条件が優れる開発素地についてはマンション開発業者等による土地取得の意欲が強いことが窺える。
  • 当地区は立地条件が優れることから引き続き需要は堅調である。また、建築費が高値安定で推移しているなかで、新築マンションの販売価格は建築費の高騰分を転嫁して上昇傾向にあるが、売れ行きは富裕層の堅調な需要を背景に概ね好調であり、
  • また、築浅の中古マンションの価格も上昇傾向にある。さらに、収益物件としての単身者・ファミリー向け賃貸マンションに対する取得需要は依然として高く、取引利回りは低下傾向で推移している。
  • これらのことから、地価動向はやや上昇傾向で推移している。
  • 富裕者層によるマンション需要は堅調さを維持しており、立地条件が優れる当地区ではマンション素地の供給が限定的であるなかで需給の逼迫状況が続くと予想される。
  • 今後も開発業者による土地取得は競合することが見込まれ、収益物件に対する投資需要も引き続き旺盛であることを背景に、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

豊中市(豊中)

築年の浅い中古マンションの価格水準が前期同様上昇している。

  • 当地区及びその周辺はニュータウン開発事業により造成された市街地であるため開発余地が少なく、物件の供給は限定的である。
  • 当地区が属する千里中央エリアには千里中央駅付近に大型商業施設が整備されており、全国的に知名度も高いため、特にファミリータイプのマンションの人気が高く、近畿圏のみならず圏外からの転入も多い。
  • マンション素地の供給は建替え事業に伴うもの等に限定され、長期的に供給不足の状況が続いている。
  • その結果、築年の浅い中古マンションの価格水準が前期同様上昇しており、新築マンションが供給された場合には、マンション分譲価格の値上げが可能であるため、建築費の高騰分を上乗せできる地区である。そのため、取引価格は上昇傾向を維持しており、当地区の地価動向は引き続きやや上昇傾向にある。
  • 当地区は新大阪駅や大阪空港並びに大阪市中心部へのアクセスにも優れ、広域的に需要が見込まれる地区である。
  • また当地区周辺には賃貸マンションがほとんどなく、70㎡程度の分譲マンションが賃貸借される場合には賃料は16万から17万円程度と高額であるが、法人契約を中心とする安定した需要が見込まれ、マンション用地としての需要が引き続き強い地区である。
  • また、昨今では、金融機関の不動産に対する貸し出しが増加しており、仲介業者が中古マンション等を転売用に取得するケースも見られる。したがって、当地区の将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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