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通勤時間や住宅面積は少子化にどの程度影響しているのか?

通勤時間の長さが少子化の一因だというダイヤモンド・オンラインの記事。

首都圏の大企業が少子化を促進している!?

(前略)そして東京への通勤時間の長さは、子育てにも負の影響を及ぼしている

『日経ビジネス』2015年3月9日号の特集記事「日本を救う子宝企業」は、在京の大企業35社への調査で明らかになった現状の厳しさを、こんな見出しでまとめてみせた。「東京では1人しか産めない!

 日経ビジネスの調査に回答した31社のうち詳細なデータ提供のあった4社の「子宝率」は、1.14~1.35。

いずれも日本を代表する大企業で、模範的な育児支援制度を備えていながら、従業員が在職中に期待できる子どもの数は、全国最下位である東京都の合計特殊出生率1.15(14年)と比べても、ドングリの背比べだったのだ。

ダイヤモンド・オンライン 2月25日

 

不動産業界人の新宿次郎氏は、「通勤時間負担も問題だが、住宅面積も問題」だと指摘している。

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通勤時間や住宅面積は少子化にどの程度影響しているのか?

都道府県別のデータを調べ、可視化してみた。

利用したデータは次の3つ。

  • 通勤時間総務省が5年ごとに実施している最新版「平成25年住宅・土地統計調査」の都道府県別の「家計を主に支える者の通勤時間」の中位数
  • 住宅面積:同調査の都道府県別の「1住宅当たり延べ面積」
  • 合計特殊出生率:厚生労働省が毎年発表している年次確定値の最新版「2014年(平成26年)人口動態調査」の「都道府県別にみた年次別合計特殊出生率」

 

横軸を「通勤時間」、縦軸を「合計特殊出生率」として描いたのが次図。バブルの幅は「延べ面積」の大きさを表している。

「通勤時間」が長いと「合計特殊出生率」が小さいようにも見えるが(ピンクの線に沿ってバブルが分布しているようにも見えるが)、R2=0.38だから両者の相関は高いわけではない。

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合計特殊出生率が1.4を下回っているのは、次の10自治体。

  • 東京(1.15)、京都(1.24)、北海道(1.27)、奈良(1.27)、宮城(1.3)、埼玉(1.31)、神奈川(1.31)、大阪(1.31)、千葉(1.32)、秋田(1.34)

1都3県は、たしかに住宅面積(バブルの幅)も小さいし、通勤時間も40分を超えている。
でも、通勤時間が短くて住宅面積が決して小さくない秋田や北海道も合計特殊出生率が1.4を下回っているぞ!

 

で、通勤時間や住宅面積は少子化にどの程度影響しているのか?

グラフから判ったことは、通勤時間の短さは必ずしも合計特殊出生率の上昇につながっていないということだ。住宅面積もしかり。

都会よりも地方のほうが合計特殊出生率が高いことは言えそうだ。秋田と北海道、そして通勤時間の長い奈良(41分)を除けば(なんで奈良は通勤時間が長いのだ?)。

都会の喧騒とは真逆の、豊かな自然環境が合計特殊出生率を高めているのではないのか。

今回は調べていないが、3世代同居家庭比率が高く、祖父母の協力が得やすい環境も合計特殊出生率を高めているのかもしれない。

 

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