「住まいサーフィン」を運営しているスタイルアクト(株)代表取締役の沖有人氏が2月4日に発信したコラム「徹底検証!マンション価格の潮目はこう変わった」が興味深い。
マンション動向を語る上で真に見るべきは市場規模(=供給戸数×平均価格)だという。
マンション動向を語る上で真に見るべきは市場規模
(前略)筆者が見ているのは、市場規模だ。
どう計算するかというと、「供給戸数×平均価格」で計算する。たとえば、2015年の首都圏の年間供給は9.9%減の4万0449戸で、平均価格は9.1%増の5518万円だったので、これを掛け合わせる。結果は2.23兆円で、前年の2.27兆円を下回っている。
市場は前年よりもやや小さくなり、デベロッパーの売上は微減していることになる。
この評価からは、昨年10月に発覚した「杭の偽装問題」が需要を冷え込ませていることがわかる。これがなければ市場規模は拡大しそうだっただけに、急ブレーキと言えよう。(後略)
1998年以降の首都圏新築マンションの市場規模(=供給戸数×平均価格)を可視化してみよう。
まずは、「供給戸数」と「平均価格」の推移の確認から。
「供給戸数」減少、「平均価格」上昇
供給戸数は、耐震偽造事件(2005年11月)以降急減し、リーマンショック(2008年11月)の翌年に最低を記録。消費税増税8%(14年4月)の駆け込みで需要を先食いした後、供給戸数は再び減少し始めている。
平均価格のほうは、供給戸数を減らすことでリーマンショック(2008年11月)後も4,500万円前後をキープ。13年以降は上昇し続けている。
(不動産経済研究所が毎年発表しているデータを元に筆者が作成)
次に、市場規模(=供給戸数×平均価格)の推移の確認。
市場規模は伸び悩み
2000年代前半まで3.5兆円前後で推移していた首都圏新築マンションの市場規模は、耐震偽造事件(2005年11月)の翌年に3兆円を下回り、リーマンショック(2008年11月)の翌年が1.65兆円のボトム。
その後、消費税増税8%(14年4月)前年まで拡大するものの、14年以降縮小し始めている。
15年の市場規模は2.23兆円(前年比1.8%減)。
(不動産経済研究所が毎年発表しているデータを元に筆者が作成)
以上のように、分譲価格は上昇を続けているが、市場規模としては伸び悩んでいるという状況。
昨年10月に発覚した「杭データ偽装事件」がこのまま需要を冷え込ませ続けるのか。
黒田日銀総裁の3次元緩和によるマイナス金利の影響が、不動産市場の先行きをより不透にしてしまっている。
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