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限界マンション問題!より深刻なタワーマンション

国土交通省は1月22日から「住生活基本計画(全国計画)の変更(案)」のパブリックコメントを求めている(締め切り2月12日)。

<もくじ>

 

国交省が掲げる空き家対策

今後10 年の課題のひとつとして、「世帯数の減少により空き家がさらに増加」が掲げられている。

民間シンクタンクの予測には、平成 25(2013)年に約 820 万戸あった空き家の総数が、平成 35(2023)年には約 1,400 万戸に、特に問題となる賃貸・売却用以外のいわゆる「その他空き家」は、平成 25(2013)年の約 320 万戸から平成 35(2023)年に約500 万戸となる見込みとするものもある。

 

急増する空き家に係る「基本的施策」は次のとおりだ。

急増する空き家の活用・除却の推進

  • (1)良質な既存住宅が市場に流通し、空き家増加が抑制される新たな住宅循環システムの構築
  • (2)空き家を活用した地方移住、二地域居住等の促進
  • (3)伝統的な日本家屋としての古民家等の再生他用途活用を促進
  • (4)介護、福祉、子育て支援施設、宿泊施設等の他用途への転換の促進
  • (5)定期借家制度DIY 型賃貸借等の多様な賃貸借の形態を活用した既存住宅の活用促進
  • (6)空き家の利活用や売却・賃貸に関する相談体制や、空き家の所有者等の情報の収集・開示方法の充実
  • (7)防災・衛生・景観等の生活環境に悪影響を及ぼす空き家について、空家等対策の推進に関する特別措置法などを活用した計画的な解体・撤去を促進

 

具体的な「成果指標」として、次のような数値目標が掲げられている。

  • 空家等対策計画を策定した市区町村数の全市区町村数に対する割合
     0 割(平成26)→おおむね8割(平成37)
  • 賃貸・売却用等以外の「その他空き家」数
     318 万戸(平成25)→ 400 万戸程度におさえる(平成37)

10年度後に 「400 万戸程度におさえる」って、現実的ではあるが、ずいぶんと低い数値目標ではないのか。

国交省が掲げている「基本的施策」でこれから増加していくであろう「限界マンション」に対応できるのか――。

 

富士通総研の上席主任研究員である米山秀隆氏の著書「限界マンション ―次に来る空き家問題 」(2015/12/17)をのぞいてみよう。

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埋め込まれた時限爆弾

マンションは共同所有という形態であるため、終末段階ではその処理に誰も責任を持たなくなる事態が生じやすい特性を持っていると著者は指摘している。

マンションで建て替えも自主的な解体も行われず、老朽化して倒壊するなど危険が切迫している場合に、解体する自治体の負担は、一戸建てに比べてはるかに大きくなる。

マンションの終末期にまつわるこうした問題は、マンションという居住形態が生み出されてきた当初から、いずれ爆発する時限爆弾としてあらかじめ組み込まれていた問題であるともいえる。

現状では時限爆弾の存在は徐々に認識され始めてはいるか、それに対する抜本策は講じられていない

 

ファンドによる買い取り、再生支援

マンションのスラム化、限界マンション化を防ぐ方策として、著者はいくつかの提案をしている。

そのうちのひとつ、老朽化マンションを買い取り、再生を進めていくという提案は、国交省の「基本的施策」には含まれていない。

リノベーションによって再生し得る物件であるのに、それができない状態になっている場合に考えられるひとつの方法は、ファンドがすべての区分所有者から物件を買い取り、分譲マンション全体をリノペーションした上で、賃貸マンションとして再生するという道である。

 

誰が解体の責任を果たすのか

長期修繕計画のなかで、最後に解体費用が残るように修繕積立金の積み立てを行うことの合意を得るのは簡単ではないと著者は指摘。

最終的には公的解体の仕組みが必要だという。

区分所有者が解体の責任を果たさないとすれば、最終的にはフランスにおいてスラム化したマンションのように、限界的な状況になった場合に、行政が買い取って取り壊すという選択肢が必要になる。つまり公費解体である。

もちろん、国土交通省も最終的にマンションがこのような事態に至る可能性に気づいていないはずはなく、強制収用の仕組みを導入することが将来的に必要との認識を示している。

この場合、すべての物件の強制収用、解体は難しいため、放置していくことが危険な状態になったものについて、実施するということになるだろう。つまり、現状のままではマンションの最終的な出口は、公費解体ということになる

 

より深刻なタワーマンション

タワーマンションには、いま着々と時限爆弾が埋め込まれていると著者は指摘している、

空き家問題との関わりで言えば、今は一戸建ての問題が中心であるが、やがてマンションの問題が深刻化し、そしてその次にはタワーマンションの問題が浮上してくると考えられる。

タワーマンションは、当面は、大規模修繕の方式を確立することが課題であるが、やがて来る建て替え来る建て替えや解体の問題は、区分所有者数が多い上、巨額の解体費用を要することから、通常のマンション以上に深刻になる。

 

区分所有者が解体費用を負担する仕組みを確立する必要性

著者は区分所有者が解体費用を負担する仕組みを確立する必要性を訴えている。

通常のマンションにしろ、タワーマンションにしろ、問題が最終的に行き着く先は、解体費用の手当てに集約されると考えられる。

繰り返しになるが、区分所有者が解体費用を負担する仕組みを確立する必要性を強調しておきたい。その場合、現にマンションを保有する人、今後、購入する人の負担は増すことになるが、これまで最終責任について明確に自覚することなく購入してきたこと自体がおかしかったといえる。

 

 

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