不動産経済研究所が1月19日、「首都圏マンション市場動向―2015年のまとめ―」を発表。
- 平成バブル景気が崩壊した1991年以来の高値
- 2015年はより狭く、より高くなった
- 2015年は1割強が売れ残った
- 低価格帯はより少なく、高価格帯・億ションはより多く
- 2016年の供給予想4万3,000戸は実現するか
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- 年間供給は9.9%減の4万449戸、価格上昇の影響で2年連続の減少。
- 平均価格は9.1%UPの5,518万円、1991年(5,900万円)以来の高値に。
このような見出しとともに、「地区別供給戸数」や「地区別価格動向(平均価格・m2単価)」、「販売残戸数」や「価格帯別供給戸数」といった表形式の数値データも掲載されている。
数字の羅列だと分かりにくいので、過去に発表されているデータと合わせて、見える化(グラフ化)してみた。
平成バブル景気が崩壊した1991年以来の高値
23区の分譲価格は、07年のピーク(6,120万円)から漸減したあと、13年以降上昇し続けている。
首都圏の分譲価格も、13年以降上昇し続けている。
15年の首都圏の分譲価格5,518万円は、平成バブル景気が崩壊した1991年(5,900万円)以来の高値。
m2あたりの分譲単価で見ても、23区、首都圏とも、13年以降上昇し続けていることが分かる。
すでに不動産バブル崩壊のカウントダウンは始まっているのだ。
上記に示した「分譲価格」と「分譲単価」から、「専有面積(=分譲価格÷分譲単価)」を逆算し、可視化(グラフ化)すると、興味深い事象が見えてくる。
2015年はより狭く、より高くなった
横軸に「専有面積」、縦軸に「分譲価格」で描いたのが次のグラフ。
23区において、07年から09年にかけて、「専有面積」が小さくなることで、「分譲価格」が下がっていく様子がよく分る。
10年以降は「専有面積」を抑え過ぎた反動か、面積、価格とも上昇。
15年は「専有面積」がやや小さくなったうえで、「分譲価格」が急上昇している。
首都圏においても、この傾向は変わらない。
2015年は1割強が売れ残った
15年に首都圏で新規に供給されたマンション40,449戸に対して、残戸数は5,284戸。1割強(13.1%)が売れ残った。
12~14年からの売れ残り戸数は1,447戸(3.6%)。
1都3県の内訳は次図のとおり。
15年の売れ残りの割合は、都区部が11.9%と最も低いのに対して、埼玉県が18.1%と最も高い。
低価格帯はより少なく、高価格帯・億ションはより多く
2012年以降の、価格帯別販売戸数を可視化(グラフ化)してみた。
価格帯別発売戸数には、5つの山(3000万円・4,000万円・5,500万円・8,000万円・億ション)がある。
15年の特徴は、過去3年と比べて、低価格帯の2つの山(3000万円・4,000万円)の供給戸数が減り、高価格帯の3つの山(5,500万円・8,000万円・億ション)の供給戸数が増えていることだ。
14年と比べると、15年は低価格帯の2つの山(3000万円・4,000万円)はより低く、億ションの山はより高くなったのが大きな特徴だ。
2016年の供給予想4万3,000戸は実現するか
リーマンショックの影響から解放され新規取得案件が出始めた2010年と、消費増税前の駆け込みで増加した2013年を除くと、「実績戸数」よりも「予想戸数」のほうが多い傾向があることが分かる。
2016年の供給予想は4万3,000戸(対2015年比6.3%増)だから、ひょっとすると実績が4万戸を下回る事態があるかもしれない。
2017年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げが、予定通り実施されるか否かが鍵になりそうだ。
ただ、いずれにしても、今はまったく買い時ではない(いま、マンションを買うべきか?)。
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