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有識者会議による民泊サービスのあり方「検討の方向性(案)」をひも解く

昨日(1月12日)開催された第4回「民泊サービス」のあり方に関する検討会において、「民泊」を旅館業法の「簡易宿所」に位置付け、許可制とすることで有識者らの意見が一致したようだ。

「民泊」年度内にも規制緩和 客室延べ床面積など政令見直し

マンションの空き部屋などに有料で旅行客を泊める「民泊」をめぐり、政府は12日、年度内にも規制を一部緩和する方針を決めた

民泊をカプセルホテルなどと同様に旅館業法上の「簡易宿所」と分類した上で、面積基準などを緩和する。ヤミ営業による近隣トラブルが多発している実態を踏まえ、許可申請のハードルを下げることで、貸し主に適法な営業を促す。
方針は、厚生労働省と観光庁の有識者会議で同日示された。客室の延べ床面積を最低33平方メートルとする基準や、帳場の設置義務を定めた政令を見直す
(以下略)

(SankeiBiz 1月13日)

 

同会議で配布された「資料3 今後の検討に当たっての基本的な視点と想定される主な論点(案)及び検討の方向性(案)について」(PDF:278KB)の11~12頁に記された「これまでの議論を踏まえた検討の方向性(案)」をひも解いてみよう。

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早急に取り組むべき課題(現行制度の枠組みの中で対応が考えられること)

現行制度の枠組みの中で対応できることとして、簡易宿所の枠組みを活用して、旅館業法の許可取得の促進を図るべきではないか。

旅館業には4種(ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業)ある。そのうち「簡易宿所営業」の施設の構造設備の基準については、旅館業法施行令の第1条(構造設備の基準)3項で次のように規定されている。

  1. 客室の延床面積は、33m2以上であること。
  2. 階層式寝台を有する場合には、上段と下段の間隔は、おおむね1m以上であること。
  3. 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること。
  4. 当該施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる規模の入浴設備を有すること。
  5. 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること。
  6. 適当な数の便所を有すること。
  7. その他都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること。

 

「民泊」を旅館業法の「簡易宿所」に位置付ける場合、「33m2以上」に合理性がないので緩和しようということになった。

その際、自宅の一部等を活用して少人数の宿泊客を受け入れる「民泊サービス」においては、現行の客室面積の基準には必ずしも合理性があるとは考えられないことから、これを見直す方向で検討し、許可を取得しやすい環境を整えるべきではないか。

 

家主不在のケース(投資型民泊)に対しては、旅館業法で厳しく規制しようという方向性が示されている。

家主不在のケースにおいては、宿泊者の本人確認、緊急時の対応体制など一定の管理体制を確保することを前提に、旅館業法の許可対象とすべきではないか。

 

旅館業法で厳しく規制するだけでなく、賃貸物件の又貸しや民泊可以外のマンションからは民泊を排除しようという方向性が示されている。

旅館業法の許可に当たり、関係法令だけでなく、賃貸借契約、管理規約(共同住宅の場合)に反していないことの確認を求めるべきではないか。

 

中期的に検討すべき課題(現行制度の枠組みを超えた検討が必要なこと)

ホームステイタイプの「民泊」については、旅館業法を適用することの妥当性の検討が必要という方向性が示されていて、引き続き検討することとなった。

家主居住で自宅の一部を貸し出すようなホームステイタイプの「民泊」については、旅館業法の許可の枠組みを適用する必要性・妥当性について、検討が必要ではないか。

その際、海外の事例も参考にすべきではないか。

関連する制度における取扱いについても、検討すべきではないか。

 

法令違反リスクを負っていないAirbnbなどの仲介事業者に対して、一定の責務を課すという方向性が示されている。

仲介事業者に対しては、一定の責務(規制)を課すことが必要ではないか。

その際、海外の事業者に対する規制の実効性を担保することが必要ではないか。

また、旅行業法との関係を整理することが必要ではないか。

 

雑感

現状の民泊の違法状態を解消するための当面の対策として、4月に関係政省令の改正が予定されているが、「規制改革会議」の民泊推進派からの巻き返しはないのか。

「早急に取り組むべき課題」として、民泊に簡易宿所の枠組みを適用するというアイデアは、民泊の位置づけが明確になるとともに、既存の法律との整合性も確保できるので、民泊と既存のホテル・旅館業界のイコールフッティングに資するのではないか。

法令違反リスクを負っていないAirbnbなどの仲介事業者に対して(法令違反リスクを負うのはホスト!Airbnbではない) 、一定の責務を課すという方向性には賛成だ。
ただ、海外の事業者に対する規制の実効性を担保するのは難しそうだ(日本人が知らない世界が広がっている!中国版Airbnbを規制できるのか )。 

(本日、マンション広告なし)

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2017年6月1日、このブログ開設から13周年を迎えました (^_^)/
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