中国ではGoogleやツイッターよりも百度(バイドゥ)や微博(ウェイボー)のほうが浸透している。
宿泊施設を仲介するサイトだって、中国ではAirbnbよりも「住百家」や「途家網」がそのうちメジャーになるのではないか(中国人が利用する中国版Airbnbとは)。
2か月前の筆者による調査では、東京・大阪・京都での登録物件数は「住百家」と「途家網」2つのサイト合計で約600件だった。
あれから2か月経ち、どの程度増えているのか?
東京・大阪・京都で登録されている物件数を前回同様、数えてみた。
中国版Airbnbの東京・大阪・京都の物件登録数は2か月で倍増!
「住百家(http://www.zhubaijia.com/)」が765件、「途家網(http://www.tujia.com/)」が421件(いずれも12月23日現在)。
二つのサイトを合わせると1,186件(次表)。
この2か月で589件から1,186件へと、倍増している!
これに対して、Airbnbの登録件数は東京23区が約9,300件(東京23区Airbnb市場動向(2015年12月))、京都市が約2,700件(5か月で2倍!京都市Airbnb登録物件数)。
だから、現状では中国版AirbnbはAirbnbと比べると一桁少ない。
もう少し分かりやすいように、可視化(グラフ化)してみよう。
「住百家」の登録件数が急増
「住百家」はこの2カ月間で487件(175%)増加している。「途家網」は110件(35%)増加。
「住百家」が「途家網」を大きく上回る勢いで伸びていることが分かる。
中国版Airbnbの登録件数は東京よりも大阪が多い
地域別の内訳をみると、2か月前も今回も登録件数では大阪が東京を上回っている。
大阪は、この2カ月間で229件(78%)の増加、東京は236件(128%)の増加。
中国版Airbnbの登録件数は東京よりも大阪のほうが多いのだ。
中国版Airbnbを規制できるのか
内閣官房「IT総合戦略室」は12月10日に開催された「第7回 情報通信技術(IT)の利活用に関する制度整備検討会」において、「中間整理(案)」(PDF:896KB)のなかで、ネット仲介事業者に対して法整備を行う方針を打ち出している(P16)。
- シェアリングエコノミーサービス事業者に対して、事業の参⼊に当たっては適切な規制を導⼊するとともに、シェアリングエコノミーサービス事業者が提供者及び利⽤者の本⼈特定事項を確認することを義務付け。
- シェアリングエコノミーサービス事業者にも⼀定程度責任を担ってもらうこととし、例えば、苦情(第三者からのものを含む)への相談窓⼝の開設や、第三者であっても当該サービスに関する苦情の申⽴てを⾏えるような表⽰(相談窓⼝の連絡先を記載したシールの配布と⽞関への設置依頼)の措置を約款により講ずる等を義務付け。
- 事業の参入に当たっての適切な規制を、国内サービスの提供を仲介する海外事業者にも適⽤するとともに、事業所の国内設置をその要件とする等、⼀定の把握のための仕組等を設ける。
ホストとゲストを確認すること苦情への相談窓⼝の開設、事業所の国内設置などを義務付けるとしているが、IT総合戦略室の関係者には規制の対象がAirbnbしか念頭にないのではないだろうか。
Airbnbと同じように、「住百家」と「途家網」も規制できるのか?
「途家網」と「住百家」は、中国人の中国人による中国人のための民泊仲介サイト。
民泊の仲介サイトは、Airbnbだけではないのだ(ルームシェアリング・サイトは一強多弱)。
ホテル・旅館業界とAirbnbが論戦を交えている間に、中国版Airbnbが漁夫の利を得ることはないのか――。