日経新聞が11月22日(日)に報じた「民泊、許可制で全国解禁」記事は、どうも「飛ばし記事」に終わったようだ。
日経記事では次のように、民泊の規制緩和がかなり進むような話になっていたのだが――。
- 厚労省は今年度中に旅館業法の省令を改正し、営業許可の基準を緩和する。
- 国交省は(中略)実際に貸し手が生活する住宅であれば、新たな設備の設置を不要にする方針だ。
トラベルボイス編集部が観光庁に、真偽のほどを尋ねた結果、「民泊を全国で解禁する方針」は決定していないという。
報道では、厚生労働省と国土交通省が2016年4月にも民泊を全国で解禁する方針としているが、観光庁は「そうした方針は決定してない」としている。
さらに、トラベルボイス編集部によれば、観光庁は、日経の報道内容には事実誤認も複数含まれているとして、次の例を指摘。「省令改正ではなく法改正が必要になる」という。
- (×)厚労省と国交省は法改正を必要としない範囲で早急に基準を整えることにした
- (×)旅館業法の省令を改正し、ホテル、旅館、簡易宿所、下宿の4種類の営業許可に、新たに”民泊”を加える案が有力
まあ、日経の担当記者も、事実無根の情報を記事にしたわけではないだろうから、ひょっとすると、民泊の規制緩和推進派の情報リークに踊らされたのかもしれない。
自民党の「観光立国調査会 観光基盤強化に関する小委員会」の議論を見ても(3分で分かる!民泊を巡る自民党小委員会の動き)、内閣官房IT総合戦略室の会合の資料を見ても(役所の会合で熱い論戦?Airbnb vs 百戦練磨 )、規制緩和によって民泊を推進する力よりも、ホテルや旅館業界といった既得権益を守ろうとする力のほうが強い印象だ。