帝国データバンクは11月10日、「建築基準法改正(2007年)後の倒産状況に関する検証調査」の結果を発表。
「改正建築基準法関連倒産」、3年で430件判明
2005年に発覚した耐震強度偽装事件を受け、再発を防止すべく、2007年6月に建築確認・審査を厳しくした改正建築基準法が施行。同法改正の影響により、同年9月には新設住宅着工戸数(全国)が前年同月比40%以上の大幅なダウンとなり、現場の混乱ぶりがクローズアップされた。
今回発覚した横浜市のマンションを発端とした建築データの改ざん・流用問題を受け、各種規制見直しの動きも注目されるなか、今後は建設業を中心とする関連業界への影響が懸念される。
帝国データバンクは、2007年6月施行の改正建築基準法の影響による倒産動向(2007年10月~2010年9月の3年間)について、月別推移、都道府県別、業種別、負債規模別に再度集計した。
同調査資料には、図表も掲載されているのだが、筆者なりに、より分かりやすいグラフで整理してみよう。
倒産は3年間で430件
耐震強度偽造事件(構造計算書偽造問題)が発覚したのが2005年11月。
建築確認・審査を厳しくした改正建築基準法が施行されたのは、1年半後の2007年6月。
同法が施行されたのち、改正建築基準法関連の倒産は3年間で430件に及んだ。
倒産の約6割が建設業
430件の内訳を業種別に見てみると、「建設業」が約6割(216件)で最も多い。
不動産業は約1割(47件)と相対的に少ない。
倒産の5割強が5億円未満の小規模倒産
430件の内訳を負債規模別に見ると、全体の5割強(233件)が5億円未満の小規模倒産が占めている。
あまりにも拙速な法改正がその後のマンション不況(冬柴不況)の引き金となった耐震偽装事件。
「必要があれば法律の見直しも含めて検討していきたい」という石井啓一国土交通相に既視感を抱いてしまう(傾斜マンションのデジャヴ )。