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「Airbnb Japan代表取締役へのインタビュー」を読む

10月17日に発行された観光経済新聞第2817号に、Airbnb Japan代表取締役田邉泰之氏への書面インタビューが掲載されている。

Airbnbの日本での取組み姿勢を知ることのできる貴重な情報だ。

(1)Airbnbの特徴、(2)国内の登録施設数、(3)拡大に向けた施策、といった提灯質疑は飛ばして、Airbnbにとってシビアな4つの質疑を抜粋しておこう。


もくじ

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photo by Camil Tulcan

旅館業法に抵触に係るAirbnbの見解

【質問4】

一般のマンション・一軒家に短期宿泊者を泊めるのは日本の旅館業法に抵触する恐れがあります。御社の見解はいかがでしょう。

 

【回答4】

Airbnbのホストは、自宅を時折貸している一般の地域住民の方々です。追加収入は、日常生活関連の支払い、老後の蓄え、また夢の実現のために使われています。

ホストへは法律や規則に沿った形でリスティングをしていただくようお知らせしていますが、既存のルールが、自宅を時折、貸し出している方に当てはまるのかは不明確です。(以下、略)

「自宅を時折貸している一般の地域住民」(ホームステイ型)の対極にある、投資目的で購入あるいは借り上げたマンションを海外からの旅行者に貸し出す「投資型」ホストについて言及していない

筆者の独自調査によれば、大田区Airbnb全146件のうち、投資型7割、ホームステイ型2割、不明1割。投資型が圧倒的に多い(大田区Airbnb 投資型7割、ホームステイ型2割)。

 

現在問題となっているのは「自宅を時折、貸し出している方」ではない。繰り返し貸して、収益を得ているホストが問題であり、彼らが「旅館業法」に抵触する可能性が高いと、多くの弁護士らが指摘している(法令違反リスクを負うのはホスト!Airbnbではない )。

 

中国人4歳女児の転落死に係る事実関係

【質問5】

7月22日、東京のマンションで中国人訪日客の転落事故がありました。御社の利用客との憶測が流れていますが事実ですか

また万一現場で事件・事故があった場合の利用者や登録施設、周辺住民への補償はどうなっていますか。事件・事故のリスク(犯罪、火災など)を回避するための施策は。

 

【回答5】

5千万人以上のゲストの方々が安全で良好な体験をしていただいています。その結果、150万件以上の物件が世界中に広がっています。

弊社では、250名以上の専門チームが、コミュニティ(ゲスト&ホスト)の安全を守るために世界各国のタイムゾーンで働いています。予約の前にゲストとホストがお互いをよく知ることができるよう、プロフィール、レビュー、ID認証、Airbnbのプラットフォームでのメッセージのやり取りができる機能を追加しています。このエコシステムを通して、問題のあるユーザーは淘汰されていき、トラブルを未然に防ぐことにつながります。

またホストの皆さまの安心のために最大1億円のホスト保証をご用意しています。

 「最大1億円のホスト保証」のことは宣伝するものの、転落事故の事実関係には全く触れていない(というか無視している)。

12階から転落死した中国人4歳女児のニュースについては、このブログでも紹介した(日本初のAirBnB死亡事故? )。


ちなみに、事故物件公示サイト「大島てる」に以下のNeco氏コメントが記録されている(真偽のほどは定かではないが)。

ツイッターで公開されていた情報や住民との(DM上での)やりとりをまとめおきます。

  • このマンションの貸主と管理会社は、この転落事故が発生した部屋の借主が、Airbnbを介して部屋を貸し出されていたことを知らなかった。
  • この部屋の借主は企業または団体であり、同マンションの部屋を「社員が使用する」という名目で数室を借りていた。(初めからAirbnbとして部屋を貸し出すことが目的だった可能性もあり。)

 

「公平かつ進歩的な規制作りへの働きかけ」とは?

【質問6】

旅館営業、ホテル営業または簡易宿所営業の許可を受けた施設のみサイトへの登録を受け付けるよう制度を改正する意向は

 

【回答6】

既存の法律は自宅を時々貸し出している一般の人々のために設計されたものではありません。そのため、一般の人々が自宅を共有できるよう公平かつ進歩的な規制作りへの働きかけをしています。他国では少しずつ一般市民の方々が簡単に自宅を共有できるよう新たな法律を採用しています。

旅館業法に抵触していないホストのみを受け付けるようなシステム(制度)に変更する(改正する)意向(つもり)はないのか、という質問に対して、ストレートに答えていない。

「一般の人々が自宅を共有できるよう」旅館業法などの規制緩和を求めていくという趣旨で切り替えしている。

昨年4月に施行された特区法によって、特区においてさえ滞在日数6日以下の民泊(Airbnbを含む)は禁止されている。

どのようにして「公平かつ進歩的な規制作りへの働きかけ」をしていくのだろうか。

(本日、マンション広告なし)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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