門川大作京都市長が10月7日の記者懇談会でAirbnbにも言及している。その内容が10月28日、ようやく市のホームページで公開された(3週間も掛かっている!)。
- Airbnbに対する京都市長の取組み方針?
- 京都市Airbnb登録物件は4か月で1.7倍に増加
- 中京区・下京区が大幅に増加
- Airbnb登録件数のトップ3は下京区・中京区・東山区
- Airbnb登録物件数を地図に落としてみた
Airbnbに対する京都市長の取組み方針?
少々長いが、引用しておこう。
【記者】
空き家等を旅行者に宿泊施設として、あっせんするネット仲介サイトのAirbnb(エアビーアンドビー)が最近広がっているが、市長の認識、今後の対策等があれば伺いたい。
最高のおもてなしが「安心安全の確保」で、Airbnbが違法状態であると言い切る市長。大阪等「他都市の状況を見極めて」いきたいという。
【市長】
観光客が大きく増えている一方で、宿泊施設が不足するということがあります。最高のおもてなしの視点は、安心安全の確保だと思います。京都市としましても、観光客と地域住民との調和、安心安全の確保をすることがまちづくりにとって最も大切なことであると思います。
平成24年に京都市が独自に町家を宿泊施設にできる制度を作りました。それまでは、町家であってもカウンター(玄関帳場)が必要で、カウンターを作れば町家が町家でなくなってしまいます。これをカウンターは作らなくていいが、旅館業法、消防法、衛生等についてきちっと対応し、周辺住民の理解を得るという取組をいち早く行い、好評いただいております。
一方で、アメリカで流行っているAirbnbには大変問題があると思います。旅館業法、消防法等に一切基づかず違法状態であります。近隣住民と調和がとれていません。宿泊・旅館組合、事業関係者等としっかりと協議したいと思います。
なお、大阪等では条例が提案されている状況もありますので、他都市の状況を見極めてまいります。
【記者】
取り締まるとすれば、市に指導権限があると思われるが、どのように対応していくか。
記者の「取り締まる」という表現に対して、市長は「啓発」というマイルドな表現に置き換えた。
【市長】
法制度が想定していない中で、仕組みが発達してきている新しい問題であります。国においても対応に時間がかかっておられます。それだけ難しい問題であることは事実であります。一つ問題が起こると大変なことになります。ネットサービスの提供者よりも、家主、オーナーの責任が問われますので、その辺の啓発もしていきたいと思います。
外国人観光客の増加への対応を問われて、次のように答えている。
【市長】
(略)国内消費が伸び悩む中で、外国から多くの観光客の方々が来られることは大変ありがたいことであります。
一方で様々な課題、Airbnbなどがありますので、一個一個の課題に丁寧に取り組んでいくことが大事だと思っています。
一個一個の課題に丁寧に取り組んでいくという市長。
京都市役所のAirbnb対応担当者のために(そんな担当いるのか?)、京都市のAirbnb登録物件の最新情報をまとめておいた。
京都市Airbnb登録物件は4か月で1.7倍に増加
筆者が4か月前に調査したときには、京都市内のAirbnb登録物件数は1,350件であった(京都のAirbnb物件 ホスト言語1位英語、2位中国語)。この数は、新宿区のAirbnb登録物件数に匹敵する(東京23区Airbnb市場動向(2015年10月度))。
10月31日現在の京都市Airbnb登録物件数は2,244件。
4か月で1.7倍だ。
この4か月間で894件増えている。
その大半はアパートだ(Airbnbでは「マンション」とは呼ばない)。
中京区・下京区が大幅に増加
特に増加したのは、中京区(+193件)と下京区(+171件)の2区。
その大半がアパート。
Airbnb登録件数のトップ3は下京区・中京区・東山区
10月31日現在、Airbnb登録件数のトップ3は下京区(474件)、中京区(384件)、東山区(337件)。
市長が「宿泊・旅館組合、事業関係者等としっかりと協議したい」と言っている間にも、Airbnb登録物件はどんどん増えている。
ちなみに、年明けから施行される予定の大田区では、Airbnb登録物件の増加にブレーキが掛かったような状況となっている(次図)。
Airbnb登録物件数を地図に落としてみた
下京区や中京区の登録件数が多いといっても、関東の人にはどのあたりのことなのか、ピンとこないかもしれない。
そこで、前回同様、登録件数を地図に落としておいた。
アパート(マンション)は中京区や下京区に集中していることが一目瞭然であろう。