文京区小石川で、完成間際のマンションの建築確認の執行停止が決定されたらしい。
まだマスメディアが取り上げていないニュースだ。
藤原美佐子 文京区議会議員(所属会派:市民の広場・文京。2011年初当選)の10月4日のブログに概要が記されている。
建築審査会で執行停止決定!
嬉しいことがありました! 12年にわたり裁判や審査請求で争ってきた小石川2丁目堀坂・六角坂のマンション。
建築確認取消しを求める審査請求で、東京都建築審査会は建築確認の執行停止を決定しました。
完成間近のマンション工事は停止し、裁定を待つことになります。裁定前に出来上がってしまい、訴えの利益がなくなり、請求が却下されることだけはとりあえずなくなりました。(以下、省略)(藤原美佐子文京区議会議員 10月4日ブログより)
本件について、情報を整理してみよう。
12月下旬に竣工予定だった、8階建てのマンション
SUUMOによれば、本物件の概要は次の通りである。
12月下旬に竣工予定となっている。
- 物件名:ル・サンク小石川後楽園
- 最寄駅:東京メトロ南北線「後楽園」歩2分
- 階建:8階地下2階建
- 総戸数:107戸
- 竣工予定:2015年12月下旬
- 建築確認日:平成24年7月26日、(変更)平成26年3月12日
東京都建築審査会はなぜ、ストップをかけたのか?
12月下旬に竣工予定のマンションに、東京都建築審査会がストップをかけたのはなぜか?
「小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える会」のサイトにアップされている「執行停止申立事件 決定書(PDF:419KB)」に事の次第が細々と記されている。
要約すると次のとおりだ。
マンションの完成が迫っていること、審理が長期化していること、避難計画・日影計画において違法性があることなどから、建築工事が完了する前に建築確認の効力を停止しなければ、「申立人らの法律上の利益の侵害はあるいはその恐れを除去することが極めて困難になる」というのがストップをかけた理由。
建築確認が失効すると、どうなるのか?
判決文書では、日影被害について次のように記されている。
日影被害について
本件計画において、地下2階エントランス部分の取り扱いなどに関わって、本件計画の地盤面の算定には誤りがある。
これらを適正な形に修正すれば、地盤面が下がることから、本件建築物の高さはさらに高くなることになる(以下、省略)。
文京区では2014年3月17日に「絶対高さ制限を定める高度地区の指定に関する都市計画」が告示・施行されている。
同告示により当該マンションの敷地は、最高限度高さが22mの高度地区に指定されることとなった(次図)。
もし建築確認が取り消されると、すでに出来上がっている地上8階、高さ27mの建物の上部2階分を撤去しなければならないような事態になる可能性がゼロではない。
ただ、マンション建設反対運動で、住民が勝訴した判決は少ない(「マンション建設反対運動、住民勝訴の判決は少ない」参照)。
住民が勝訴した場合、売主は建物上部を撤去しなければならなくなるのか?
すでに契約した人にとっては気がかりなことであろう。
今後の裁定に要注目。
⇒2015年11月14日:建築確認の取り消し決定!竣工間際のマンション