下鴨神社のマンションがいよいよ11月に着工されることを伝える京都新聞の記事。
下鴨神社マンション計画、京都市が許可 11月にも着工
下鴨神社(京都市左京区)のマンション建設計画について、市は24日、風致地区条例に基づく許可と、眺望景観創生条例による認定を行った。景観規制上の手続きは終了し、11月にも着工される見通しとなった。
(略)
計画をめぐっては反対する住民団体が7月下旬、撤回を求める5,100人分の署名を神社に提出している。(京都新聞 2015年9月24日)
なぜ、下鴨神社は平安京以前の自生林である糺(ただす)の森(WIKI)を撤去してまでマンションを建設しようとしているのか?
主な理由は二つ。
一つは21年に1回実施される遷宮に掛かる費用約30億円が国からの補助金8億円と企業からの寄付だけでは賄えないこと。
もう一つは、マンションの計画地は古くから糺の森の一角を占めているにもかかわらず、文化財指定地や世界遺産の区域から外れ、環境の維持や保全に公的な補助が受けられないこと。
詳しくは、「下鴨神社マンション計画の皮算用」参照。
マンション計画撤回の5,100人分の署名(7月28日提出)にも拘らず、建設にゴーを出した行政サイドはどのように考えているのか?
「下鴨神社のマンション建設は評判が悪い。何とかしてもらいたい」という「市長への手紙」に寄せられた市民の声に対して、次のように答えている。
本市といたしましては、引き続き、歴史的文化的資産、伝統行事の継承と優れた自然的景観の両立を図れるよう最大限知恵を絞り、下鴨神社を世界遺産として次世代に継承できるよう、今後とも下鴨神社や関係機関と協議を行ってまいりますので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(回答日:平成27年6月16日)
やはりというか、行政は何も考えていない。
当然といえば当然だが、法に則って粛々と処理するだけなのだ(もちろん、それはそれで大切なことだ)。
一方、門川京都市長は記者会見で次のように答えている。
下鴨神社は、建築に関わる景観の保全、糺の森の保全等について、京都市の基準に対応した取組を進められてこられました。
したがって、ネット等においても公表されていますが、多くの方の御理解のもとに、この取組が進められることがベストであると思っています。
下鴨神社において、必要に応じて適正に取り組まれると考えています。
(略)専門家の意見を反映し、糺の森と調和した樹木を新たに植えて御蔭通は石畳で広げるなどして、今よりも世界遺産を構成する糺の森や下鴨神社にふさわしいものになります。
景観上は、大きく向上するものと説明されていますし、私共もそのように考えております。世界遺産の関係者もそのことについては、理解されています。したがって、世界遺産の取り消しということは、万が一にもないと確信しています。
「この取組が進められることがベスト」だという京都市長の発言。
下鴨神社マンション計画へのGoの判断は、来年2月頃に予定されている京都市長選に向け、8団体から出馬要請がでている門川市長への追い風となるか――。
こうしてまた、しょうもないマンション建設(3階建て×8棟、総戸数107戸)のために、貴重な自然林が消えていくんかいな。
「下鴨神社マンション計画の皮算用」より
下鴨神社マンション計画は世界遺産の指定区域外ということであったが、世界遺産の指定区域(コアゾーン)にあたる境内に大型倉庫(木造2階建て30m×9m)の建設が計画されている。
当初、4月1日に着工する予定だったが、近隣住民から反対の声があり、着工を延期しているという(京都新聞 2015年3月27日)。
ちなみに、下鴨神社のマンション計画だけでなく、東本願寺のお膝元でも賃貸マンション計画がある(坊主だけに生臭い!?東本願寺のお膝元で賃貸マンション)。
(本日、マンション広告なし)