住宅金融支援機構は9月16日、「平成27年度下期における住宅市場動向調査結果(PDF:1.3MB)」を発表。
- 新設住宅着工戸数の見通し、2016年度は約100万戸
- 住宅余剰時代に、住宅着工戸数はまだ増えるのか
- 過去10年間の新設住宅着工戸数の推移を可視化
- 過去60年間の新設住宅着工戸数の推移を可視化
- 住宅着工戸数にブレーキは掛かるのか
内閣府が9月8日に公表した2015年4-6月期GDP2次速報を踏まえ、各調査機関による新設住宅着工戸数の見通しが掲載されている(頁5)。
数値の羅列で、イメージがつかみにくいので、グラフにしてみた。
新設住宅着工戸数の見通し、2016年度は約100万戸
2016年度の予想戸数が最も多いのはアジア太平洋研究所の104万6千戸。最も少ないのは富国生命保険相互会社の91万3千戸。その差は13万3千戸。12機関の平均値は96万1千戸。
まあ、ざっくり言えば2016年度は約100万戸といったところか。
★印は、9月8日の内閣府のGDP2次速報後に改定を公表した機関であることを示す。
では、この約100万戸(2016年度)は、過去の実績戸数と比べてどうなのか?
これもグラフ化してみた。
住宅余剰時代に、住宅着工戸数はまだ増えるのか
新設住宅着工戸数の実績と見通しについて、12機関の平均値をグラフにしてみた。
2014年度の落ち込みから、若干増加する傾向がみられる。
住宅余剰時代に向かって、まだ増加傾向にあるという予想は、信じがたいことだ。この暴走状態はまだ続くのか――
過去10年間の新設住宅着工戸数はどうなっているのか?
過去10年間の新設住宅着工戸数の推移を可視化
国交省が定期的に公表している「建築着工統計調査報告」から、「【住宅】利用関係別 時系列データ」をグラフ化してみよう。
10年前の年間120万戸の時代から、ここ数年は90万戸前後まで減少している。
こうしてみると、全国的には「持家(≒非建売)」や「貸家」が、「マンション」や「戸建て(≒建売)」の2~3倍もあることに気づく。
では、もっとロングスパンでみると、新設住宅着工戸数はどうなっているのか?
過去60年間の新設住宅着工戸数の推移を可視化
上記と同じ「【住宅】利用関係別 時系列データ」を用いてグラフ化してみよう。
※「分譲住宅」とは、建て売りまたは分譲の目的で建築された建物。 マンションや戸建てなどが含まれる。
1987年度の172万戸をピークに、新設住宅着工戸数は減少トレンドに入っていることが一目瞭然だ。
1987年度といえば、安田海上火災(現:損害保険ジャパン)がゴッホの「ひまわり」を高額で落札した年だ。
ちなみに、これまでいかに多くの「貸家」が建設されてきたのかがよく分かる。貸家の着工のピーク(887,204戸)も1987年度。
住宅着工戸数にブレーキは掛かるのか
チョット古くなるが、野村総研が2014年12月5日に発表した資料によれば、10年後には住宅着工戸数は62万戸まで減るはずだ。
住宅着工戸数にブレーキが掛かるのはこれからなのであろう。