首相官邸の屋上にドローンが落下した事件により、ドローン(無人航空機)の存在が一般の人にも知れ渡るようになった。
と同時にこの新しい技術に規制をかけようとする動きは早い。
自民 ドローン規制法案まとめる
自民党は、総理大臣官邸の屋上で無人機の「ドローン」が見つかった事件を受けて13日、党本部で合同会議を開き、国の重要施設などの上空での小型無人機の飛行を禁止する法案をまとめました。
それによりますと、国会議事堂や総理大臣官邸、最高裁判所、皇居、外国の大使館など、対象とされた施設と敷地の上空で小型無人機を無断で飛行させた者に1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしています。
国の重要施設の敷地上空をドローン飛行禁止区域とするのはやむを得まい。
でも、いきなり、都立公園でのドローンを禁止するのは乱暴ではないか。
都立公園でのドローン禁止
都立公園でのドローン禁止
都公園課によると、4月28日付で各園に使用制限の通知を出した。
通知の根拠は都立公園条例の第16条で、「制限できる行為」として「都市公園の管理に支障がある行為をすること」とされている。同課は禁止理由として、落下した際の危険性を挙げる。
条例には、違反した場合に五万円以下の過料を科す規定があるが、担当者は「過料を科すことは想定しておらず、注意を呼びかけることを基本にする」と話している。
(東京新聞 5月12日)
公園がダメとなると、都会では河川敷くらいでしか飛ばすことろがなかろう。
この他にも法務省が、ドローンを利用して逃走道具や盗撮用機材、違法薬物を刑務所に不正に差し入れすることを警戒して、全国の刑務所に文書で注意喚起を行ったといった情報もある。
公共の安全確保のためのドローン規制も重要だが、個人のプライバシー確保のための規制も重要だと思う。
でも、その辺について、関係当局の動きは鈍い。
目立つところでは、総務省が4月28日に発信した次の注意喚起文書くらいか。
総務省の注意喚起文書
小型無人機「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱に係る注意喚起
(略)ドローンを用いて撮影した画像・映像を被撮影者の同意なくインターネット上で公開する場合には、被撮影者のプライバシー及び肖像権を侵害するおそれがあります。
このため、ドローンを用いて撮影した画像・映像をインターネット上で公開する場合には、被撮影者のプライバシー及び肖像権、並びに個人情報の保護に配慮するようお願いいたします。
被撮影者の同意を取ることが困難な場合には、次のような措置を取れという。
- 人の顔や車のナンバープレート等プライバシー侵害の可能性がある撮影映像等に対しては、ぼかしを入れるなどの配慮をすること
- 特に、ドローンによる撮影映像等をインターネット上で公開できるサービスを提供する電気通信事業者においては、削除依頼に対する体制を整備すること
グーグルストリートビューのように、顔にボカシを入れればいいらしい。
被撮影者の同意なくインターネット上で公開した場合、以下のリスクを負うと、警告を発している。
- 民事上、撮影者は被撮影者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求を負うこととなります(省略)。
- 浴場、更衣場や便所など人が通常衣服をつけないでいるような場所を撮影した場合には、刑事上、軽犯罪法の対象となるおそれがあります(省略)。
- 個人情報取扱事業者による撮影の場合には、無断での撮影行為は不正の手段による個人情報の収集に当たり、個人情報保護法の違反行為となるおそれがあります(省略)。
個人がドローン(drone)を飛ばして、超高層マンションのリビングを覗き込んだり、上から露天風呂を撮影したりすると、罰せられるとも読めるのだが、注意喚起文書のタイトルにもあるように、「インターネット上での取扱」についてしか言及されていないのだ。
ネットで公開せずに、個人で楽しむ分にはいいのか?
常識的にはマズイと思うのだが、ネットで公開しない場合の撮影行為については、総務省の管轄外ということなのか。
ドローンを使って高層マンションを撮影した動画
実際に、ドローンを使って高層マンションを撮影した動画がユーチューブに公開されている。
距離によっては、リビングの中まで覗き込めそうだ。
超高層マンションの上層階でカーテンを開け放して、眺望を楽しんでいた人にとっては迷惑な話であろう。
さて、このドローン(小型の無人空撮機)。
世界最大手であるDJI社が4月21日に発表した最新機種PHANTOM3(ファントム3)は、4Kカメラ搭載モデル だから、鮮明な動画を取ることができる。