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首都圏新築マンション価格動向、鑑定評価員のコメント(平成26年第2四半期)


国土交通省が8月29日、全国主要都市の計150地区を対象に四半期ごとに実施している「平成26年第2四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」を公表。
比較的バイアスのかかっていない、新築マンションの市況を知り得る数少ない情報だ。
首都圏では新築分譲マンションについて、20地区のうち、上昇地区が11、横ばい地区が 9と、半分強が上昇となった。
以下に、首都圏(1都3県)の新築分譲マンションの価格動向を中心に、「鑑定評価員のコメント」を拾ってみた。

もくじ



埼玉

  • さいたま市(新都心)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)】
    • 当地区は良好な住環境を有することからエンドユーザーの選好性が高い地区である。当期は中古マンションの取引は相応にあり、築年の新しい物件の取引も見られた。新築マンションについては、景気の回復基調が継続していること等から需要は回復しており、マンション分譲価格はやや上昇傾向に転じている。

千葉

  • 千葉市(中央区/千葉港)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 駅から徒歩圏外の新築マンションについては、消費増税による駆け込み需要があったものの未だ完売されていないため、今後、分譲価格の値下げも考えられる。一方、JR総武線千葉駅徒歩圏での新築マンションについては、竣工前に完売になる等販売状況は好調である。そのため、全体としてマンション分譲価格は横ばいに転じている。



  • 千葉県(浦安市/新浦安)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 当地区では分譲マンションの供給は見られないが、中古マンション取引は概ね堅調に推移している。ただし、中心価格帯は3,500万円〜4,000万円程度であり、4,000万円後半の物件の動きは鈍い。都心における地価上昇等を背景とする値上がり期待から中古マンションを売り控えるオーナーが見られるが、このような動きが取引価格の上昇には結びついていない。そのため、マンション分譲価格は概ね横ばいである。



  • 千葉県(柏市/柏の葉)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 駅前の大規模分譲マンションの販売は好調であり、中古マンションの需要も堅調に推移している。土地供給の中心となっている土地区画整理事業は徐々に進捗しているものの、未だ地域の熟成度は低く、特に東京都区部からの需要は限定的で需要全体の厚みに欠けることから、価格上昇には至っていない。そのため、マンション分譲価格は概ね横ばいで推移している。

東京

  • 千代田区(番町)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)
    • 当地区は成熟した高級住宅地域であり、高所得者層からの分譲マンション需要は強く、当期当地区において新たに分譲が開始されたマンションも、販売価格・契約率共に堅調に推移している。また、新築分譲マンションの販売において、建築費の高騰分等を勘案した価格設定が徐々に行われているものの、販売状況は堅調である。そのため、マンション分譲価格はやや上昇している。

  • 中央区(佃・月島)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満】
    • 都心部への良好な接近性等の立地の優位性からマンションに対する潜在需要は底堅く、また、オリンピック招致の決定以降、分譲価格の上昇が周辺部で認められる。高額物件は不動産市況のみならず、金融マーケットの動きと相関が認められることから、金融マーケットの動向にもよるが、当地区周辺において予定されている新規分譲マンションの分譲価格には先高感があり、当地区のマンション分譲価格は引き続き上昇傾向にある。

  • 港区(南青山)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)】
    • 当期は開発素地の供給不足から新築分譲マンションの新規供給がなく、在庫不足から中古物件についても売り手主導の価格で取引が成立しており、マンション分譲価格はやや上昇している。当地区は都内有数の優良住宅地域であり、地縁的選好によって当地区内で居住用マンションを求める需要者が多いほか、外国人投資家等の需要も引き続き旺盛であることから、新規供給が行われれば高値での取引が予想されている。



  • 港区(高輪)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)】
    • 東京メトロ南北線沿線では、大手・中堅デベロッパーによりマンション供給が続いており、新築の大規模タワーマンションの売れ行きは引き続き好調で、販売価格も上昇傾向である。中古マンショ

  • 渋谷区(代官山)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 全般的に中古マンションに対する需要は強いが、需要の中心である築10年程度の物件の品薄感が強い。中古物件でも小規模な物件は個人が投資用物件として取得することもあるが、規模の大きな物件は富裕層の実需が中心である。周辺エリアでは新築分譲マンションの新規供給は少なく、駅至近で建築中の物件は分譲価格は未定であるが、相当な高値となると予想される。そのため、引き続きマンション分譲価格は高水準で横ばい傾向である。

  • 文京区(小石川)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)】
    • マンション用地の仕入れ価格や建築費が上昇傾向にあるため、マンションデベロッパーは新築マンションの販売価格に一部コストを転嫁している。申込状況が奮わない分譲マンションが見られる

  • 品川区(品川)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)】
    • 低利の住宅ローンや景気回復を背景として、エンドユーザーの住宅取得意欲は強い。建築費の高騰の影響を受け、高騰分の分譲価格への転嫁が徐々に行われており、新築マンションの分譲価格はやや上昇傾向にある。中古マンションも高額物件を中心に売行きは改善傾向にある。東日本大震災の影響が薄れて湾岸部の人気が回復していることから、当地区のマンション分譲価格は引き続きやや上昇している。



  • 江東区(豊洲)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)
    • オリンピック開催決定直後は、交通利便性の劣る地区においても旺盛な需要が見られるなど、湾岸地域全体に対する需要が強まっていたが、その余韻が一段落し、一時期他地区に流れていた需要層が交通利便性の高い地区に戻る傾向が見られる。交通利便性が高い当地区にも需要が戻る傾向が見られ、新築、中古ともに売れ行きは好調を維持している。今後も大量供給が計画されているが、堅調な需要と建築費の高騰により販売価格の上昇が確認されていることから、マンション分譲価格は前期と同様にやや上昇している。



  • 江東区(有明)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)】
    • 当地区は中央区等の他の湾岸エリアと比較して都心への接近性がやや劣るが、オリンピック開催決定による注目度増加、将来的な地域発展の期待、他の湾岸エリアとの比較における相対的な割安感から、マンション販売は新築、中古ともに好調を維持している。今後も周辺エリアで大量供給が予定されているが、堅調な需要と建築費の高騰による販売価格の上昇が確認されており、前期と同様にマンション分譲価格はやや上昇している。



  • 世田谷区(二子玉川)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)
    • 当期も当地区内で新築分譲マンションの供給はないが、同じ東急田園都市沿線の新築マンションにおいては、建築費の上昇の影響等により、販売価格を1割程度上昇させる動きが認められている。

  • 武蔵野市(吉祥寺)【マンション分譲価格:横ばい】
    • JR吉祥寺駅周辺地域におけるマンション需要は新築、中古ともに底堅さが窺えるが、立地面で劣る物件はやや苦戦を要する状況に変わりはない。富裕層の購入意欲も強く、件数は多くはないが高額優良物件の取引も散見される。分譲価格には上昇機運が見られるものの、需要の中心となる価格帯

  • 立川市(立川)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)
    • 小規模又は環境の劣るマンションは、立地面での優位性を活かせずに苦戦して在庫を抱えた物件も見られる。しかし、JR立川駅至近の利便性良好な新築マンションは総じて人気が高いため契約率は高く、また、JR豊田駅周辺の新築マンションについても立地、周辺環境等の優位性から販売状況は良好である。現在、JR立川駅周辺では人気の高さを受けて新規に販売を開始又は計画中のマンションが合計3物件見られる。また、JR立川駅至近に所在し利便性の良好な高層マンションが即日完売したケースも見られていることから、マンション分譲価格は前期と同様にやや上昇している。

神奈川

  • 横浜市(都筑区/筑区センター南)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 当地区は、子育て中のファミリーが選好するエリアであるが、マンション分譲価格はこれらの需要者が許容可能な水準ほぼ上限にある。販売センターへの来場者も消費増税以降落ち着いており、これ以上の分譲価格の大幅な上昇は見込みにくい状況である。したがって、強い需要は見られるものの、当期マンション分譲価格は横ばいで推移している。



  • 横浜市(青葉区/美しが丘)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 平成26年に入って販売が開始された周辺地区の分譲マンションは、価格帯が比較的高位であったが販売は順調であった。しかし、全体的にはエンドユーザーの物件取得の動きは落ち着いており、4月以降は、新築物件、中古物件ともに販売センターへの来場者はやや少なくなっている。分譲価格は既に上限に近い水準に達しているため、当期におけるマンション分譲価格は横ばいで推移している。

  • 川崎市(中原区/元住吉)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 当地区においてはマンション市況の判断材料となる分譲事例は確認できなかった。駅からやや距離のある周辺地域で分譲中の物件があるが、立地条件の違いから当地区との比較は困難である。駅徒歩5分程度のところに分譲計画があり、当地区における市況の方向性を判断する上では当該計画の動向等が注目される。隣接する武蔵小杉地区では従来より高い価格設定の事例が見られるものの、市況全体としては価格水準が既に高位であること等から、当地区においても全体的に分譲価格の大きな変動はない。そのため、当期マンション分譲価格は安定的に横ばいで推移している。

  • 川崎市(麻生区/新百合ヶ丘)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 分譲マンション市場において一部の富裕層向けの分譲価格は上昇しているが、一次取得者層向けの物件については目立った変化はない。中古マンション及び戸建住宅ともに物件の優劣による市況動向の二極化が見られるものの、成約価格帯は全体として概ね横ばいであり、仮に新築分譲マンションが供給された場合にも同様の傾向となることが見込まれる。したがって、当地区におけるマンション分譲価格は総じて横ばいである。

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