マンション、ちょっと狭め 50〜60平方メートル相次ぐ
首都圏のファミリー向け分譲マンションで、面積の狭い物件が出始めた。
子ども部屋を確保できる3LDKの標準的な広さは70平方メートルといわれるが、50〜60平方メートル台に抑えた物件を開発業者が相次ぎ発売。
建築費や地価が上昇するなか、面積を絞って販売価格を抑える苦肉の策といえる。
2020年五輪に向けた開発ラッシュの影響が及んでいる。
「面積の狭い物件が出始めた」根拠として、次の5つの物件が例示されている。
- 9月に売り出される、セコムホームライフの子育て向けの3LDK物件(杉並区)が57〜59m2に抑えられている。
- 9月に売り出される、伊藤忠都市開発の3LDK物件(中央区)17戸中9戸が66m2。
- 名鉄不動産が葛飾区で今秋売り出す11階建て物件の3LDK18戸が70m2未満。
- 新昭和が千葉県前で開発中のマンションは4LDKをなくし、3LDKと2LDKで54〜78m2。
- リストが湘南エリアで計画しているマンションの1戸当たりの平均面積を70m2から60m2前後に見直す。
たったこれだけの事例で「50〜60平方メートル相次ぐ」と言い切っていいのか?
しかも、あとの2件は、とってもマイナーな会社(新昭和とリスト)の事例。
首都圏新築マンションの専有面積が小さくなり始めたのは、決して最近のことではない。
次図のように、2008年から小さくなり始め、2009年以降は70m2をチョット上回る水準を維持しているのだ。
※詳しくは、
マスコミが伝えない、首都圏新築マンションが狭くなっている! 参照。
首都圏新築マンションの専有面積の水準が70m2になるチョット前の、2008年からの月次変化を可視化してみよう。
※不動産経済研究所が毎月発表しているデータを元にグラフを作成した。
平均価格と平均単価(首都圏新築マンション)
※「平均単価」の縦軸が、「0」ではなく「50」から始まって、強調表示されていることに要留意。
平均価格、平均単価ともに、すでに2年前から上昇傾向にあることが分かる。
平均価格は、1年前から5千万円前後をウロウロしていたのだが、7月に一気に5千5百万円を突破。
平均単価は、1年前から70万円あたりをウロウロしていたのだが、7月に一気に77万円まで上昇している。
平均価格と平均専有面積(首都圏新築マンション)
※「平均専有面積」の縦軸が、「0」ではなく「60」から始まって、強調表示されていることに要留意。
平均価格については、上述の通り。
平均専有面積は2009年あたりから、ほぼ70m2の水準を維持していることが分かる。
狭くなったのは最近の出来事なのではなく、2009年に狭くなった状況が現在でも継続しているのだ。
ここにきて、消費増税と建設費の高騰によって、小さくなった専有面積をこれ以上は小さくできないので、分譲価格が上昇し始めているということだ。
だから、それでも専有面積を小さくしようとしている日経記事の事例は、居住水準を下げてでも利益を確保しようとする事業者本位の動きにほかなならい。
(本日、マンション広告1枚)
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