不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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2014年の首都圏の新築マンション市場予測(専門家の意見まとめ)

2014年の首都圏の新築マンション市場はどうなるか。
不動産経済研究所が12月19日に発表した「2014年の首都圏マンション市場予測」には次のように記されている。

用地費・建築コストは上昇傾向にあるも、グロス価格の抑制必至で、専有面積は縮小傾向へ。

用地費や建築コストが上昇傾向にあるので、消費者が買いやすいように、専有面積を小さくして分譲価格を抑えた物件が売り出されるという予測だ。


発表資料の中には、「分譲価格」と「1m2当たりの価格」の06年以降のデータも掲載されているので、首都圏の新築のマンションの価格動向を把握すべく、縦軸を平均分譲価格、横軸を平均床面積として、02年以降の変化を“見える化”してみた。
分譲価格と床面積の推移
23区の新築マンションの分譲価格は、07年から09年まで床面積を削減しながら毎年下落。
09年を境に床面積は抑制されながらも、分譲価格は上昇に転じていることが分かる。
また、首都圏の新築マンションの分譲価格についても、23区と同様の傾向が見られる(ただし、23区と比べると変動幅は小さい)。


東日本大震災の復興需要増による人件費や物件費の高騰の影響もあり、2014年の首都圏の新築マンション市場は、分譲価格の上昇と専有面積の縮小圧力がかかるとことが予想される。


専門家らは、どのように予測しているのか。
以下、8名(雑誌から3名、ネットから5名)の意見をまとめておいた。

『週刊ダイヤモンド 別冊』に掲載されていた3名の意見

2014年1月19日号の『週刊ダイヤモンド 別冊(これでカンペキ!購入最新ガイド)』に掲載されていた3名の専門家の予測記事からの抜粋。

高橋幸男(不動産経済研究所社長)
【物件の払底感が強まる年初 「消費税増税前」に動け】
5%から8%の引き上げ時に駆け込み需要は起きなくても、8%から10%のときには、不動産ブーム加速を伴い、駆け込み需要が起きると、私は見ている。
すでに建築費・用地費の値上がりは著しい。
14年の後半はコスト高を織り込んだ物件価格が提示されるはずだ。
こうした条件下で有利なのは、早く動くことである。
今から、消費税が上がる前の3月末までが最も有利になる


石澤卓志(みずほ証券 金融市場調査部チーフ不動産アナリスト)
【モデルルームがにぎわうGW後 お好みの立地から選べ】
駆け込み需要を刈り込んでしまったと考えているデベロッパー各社は、4月以降の実需に対してはまだまだ懐疑的だ。
だから、オリンピック開催決定による継続的なインフラ投資が行われる晴海・勝どき・新豊洲・有明と、都心5区を除けば、マンションの実需に供給体制が追い付くには少々時間がかかると考えている。
結局のところデベロッパーが住宅実需を実感するのは、ゴールデンウイーク(GW)時期のモデルルーム来場者のにぎわいであり、それを過ぎて初めて供給体制が整う。
立地を選べるだけの新築物件が出そろってから、「新築住宅購入の時」とするのがよい
だろう。


櫻井幸雄(住宅評論家)
【市場は回復期から加熱期へ 慎重に行動すべきタイミング】
マンションは通常、半年から1年という時間をかけて売り、さらにその半年〜1年前に事業計画を進めながら、徐々に情報を流していく。
計画段階から竣工までは、2〜3年、大型物件ならもっとかかることもある。
ということは、今はまだ、条件のよい物件も市場に出回っているということだ。
慌てず、しっかり選び、しかし出遅れないようにしたい



ネットで拾った専門家6名の意見

中山登志朗氏(東京カンテイ/市場調査部 上席主任研究員)
東京カンテイ中山氏曰く、2014年は買い方も重要に!(2013/12/7)】
今年は都心エリアの高額物件の供給が顕著でした。
来年は都心エリアの高額物件の供給は減りそうです。
一方で、湾岸エリアは多くのプロジェクトが供給を控えており今後供給戸数が増えていく見込みです。


円安による資源高で鉄などの価格が上昇。労務費も上がっており工事費は上昇しています。しかし、そのまま価格に転嫁するのは限界があると思います。


また、仕様や設備スペックもあからさまに落とすと売れ行きに影響するでしょう。
郊外エリアは価格が下がる可能性もあると思います。
シンプルな形状にするなど、グレードを維持しながらコストダウンをして価格上昇を抑えていくのではと思います。
(中略)
既に新築マンションの価格は、2013年が上昇基調でしたので最大の買い時までとは言えないかも知れません

長谷川高氏(不動産コンサルタント)
長谷川高氏曰く、工事費の動向には要注意!(2014/1/3)】
価格がリーズナブルな時が買い時と考えると、もし価格調整局面が来れば買い時が来ると言えるかも知れません。
もし価格がさらに上昇するようであれば時期を待つのも大切だと思います。


不動産の先行指標としては、J−REATや不動産株のトレンドを見ると良いと思います。半年先、1年先を表しているとも言えます。
両指標が今後、下落していく局面が出てくれば、不動産価格のトレンドも近い将来、調整する(下落する)可能性が高いと想定できます。

岡本郁雄氏(コンサルタント&FP)
工事費のアップは、マンション市場にどう影響する?(2013/11/25)】
都心エリアなどの地価の高いエリアは、価格に占める建物原価の割合が低いため、郊外エリアに比べると工事費上昇の影響は小さいと言えます。
ただし、こうした立地は、ニーズが高くリーズナブルな価格で入手するのは困難です。
結果的に都心エリアのマンション価格も上昇することに繋がります。


コストの上昇が、そのまま販売価格に転嫁できるマーケットは限られているので、工事費を抑えるべく、設備スペックの見直しや仕様の変更、専有面積の圧縮などの検討も今後増えてくるかも知れません。
事業者から見て「良いマンション」を供給しにくくなってきていることは確かなようです。

沖有人氏(住まいサーフィン運営会社代表)
(大予測)来年は高くて、マンションが買えなくなる(2013/9/30)】
2018年まで続く、黒田日銀総裁の5年間の任期と2020年開催の東京オリンピックまで資産インフレの行き過ぎを止める手立ては今のところない。
マンションを庶民が買えなくなる日は近いし、2012年当時の価格で購入するには10年待ちになるだろう。

榊 淳司氏(住宅ジャーナリスト)
2014年のマンション市場を当てずっぽう大予測(2013/12/20)】
2014年のマンション市場は3月まで好調、4月以降は失速、というのが私の見立てです。
秋口には「値引き合戦」になっている可能性もあります。
というのは、マンションの価格は現在上昇気味。
(中略)
原因は土地の下げ止まりと建築費の高騰。需要が拡大したからではない、というのが大きなポイント。
(中略)
体力のないところは目先の現金欲しさに値引き。この構図は2008年から2009年頃と全く同じ。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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