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首都圏新築マンション価格動向、鑑定評価員のコメント

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photo by FutUndBeidl

国土交通省が11月28日、全国主要都市の計150地区を対象に四半期ごとに実施している「平成26年第3四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」を公表。

比較的バイアスのかかっていない、新築マンションの市況を知り得る数少ない情報だ。

首都圏(1都3県)の新築分譲マンションの価格動向を中心に、「鑑定評価員のコメント」を拾ってみた。

 

埼玉

さいたま市(新都心)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

当地区は良好な住環境を有することからエンドユーザーの選好性が高い。富裕層からの新築または築浅の高級分譲マンションの需要は相応にあり、一部高額での取引も見られた。一方で、タワーマンションでも築年の古いものは間取りの陳腐化等によりやや敬遠される傾向があり、物件に応じて二極化が進んでいるが、当地区全体としてはマンション分譲価格はやや上昇傾向にある。

千葉

千葉市(中央区/千葉港)【マンション分譲価格:横ばい】

千葉駅から徒歩圏外の新築マンションについては、未だ完売されていないため、分譲価格を下げる動きが見られた。一方、JR総武線千葉駅徒歩圏での新築マンションについては、竣工前に完売になる等販売状況は好調である。そのため、全体としてはマンション分譲価格は横ばいである。

千葉県(浦安市/新浦安)【マンション分譲価格:横ばい】

当地区では分譲マンションの供給は見られないが、中古マンション取引は概ね堅調に推移している。取引価格の中心は3,500万円から4,000万円程度である。都心における地価上昇等を背景とする値上がり期待から中古マンションを売り控えるオーナーが一部に見られるが、当地区においては上記取引価格水準で概ね需給が均衡した状態にある。したがって、マンション分譲価格は概ね横ばいである。

千葉県(柏市/柏の葉)【マンション分譲価格:横ばい】

駅前の大規模分譲マンションの販売は好調であり、中古マンションの需要も堅調に推移している。 土地供給の中心となっている土地区画整理事業は徐々に進捗しているものの、未だ地域の熟成度は低く、特に東京都区部からの需要は限定的で需要全体の厚みに欠ける。そのため、マンション分譲価格は概ね横ばいで推移している。

東京

千代田区(番町)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

当地区のファミリー向けの中古マンションは築年数が古く、耐震性・設備等需要者のニーズに満たない物件が多いことから、ファミリー向けの新築マンションの需要は旺盛であり、販売も引き続き順調である。そのため、マンション分譲価格はやや上昇傾向にある。

中央区(佃・月島)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満

都心部への良好な接近性等の立地の優位性からマンションに対する潜在需要は底堅く、また、オリンピック招致の決定以降、周辺部において分譲価格の上昇が認められる。高額物件は不動産市況のみならず、金融マーケットの動きと相関が認められる。そのため、金融マーケットの動向にもよるが、当地区及び周辺において予定されている新規分譲マンションの分譲価格には先高感があることから、当地区のマンション分譲価格は引き続き上昇傾向にある。

港区(南青山)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

当地区では開発素地の供給不足により新築分譲マンションの新規供給がなく、また新築の在庫についてもほぼ完売していること等から、新築分譲マンションの供給がなされれば昨今の旺盛な需要から見て高値で取引されると予想される。中古マンションも、築浅の物件については税金対策目的の資産家や、海外からの投資家により低い利回りで取引されている。そのため、マンション分譲価格はやや上昇している。

港区(高輪)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

当地区周辺では大手・中堅デベロッパーによりマンション供給が定期的に行われ、新築マンションの販売状況も依然として好調である。前期同様、新築・中古ともマンションの供給量が限定的であるため、売り物件があれば高値で、かつ短期で成約する事例が見られる。そのため、当期マンション分譲価格はやや上昇している。

渋谷区(代官山)【マンション分譲価格:横ばい】

個人投資家を中心とした中古マンションに対する需要は強く、中古の売り出し物件の品薄感が強いため、これまでは投資対象となりづらかった建築後の経過年数が相当程度経過した物件に対しても取得意欲が強い。しかし、近年の個人投資家層の中心であった海外投資家の物件取得意欲が減少傾向にある。そのため、売買価格に大きな変動は顕在化しておらず、マンション分譲価格は高価格水準帯での横ばい傾向である。

文京区(小石川)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

マンション用地の仕入れ価格や建築費が引き続き上昇傾向にあるため、マンションデベロッパーは新築マンションの販売価格に一部コストを転嫁している。当地区は全般的にエンドユーザーからの人気が高い地域であるが個別の立地によって人気には差がある。当期において販売中の分譲マンションの販売状況は好調であり、全般的に安定した市況となっている。そのため、前期から引き続きマンション分譲価格はやや上昇している。

品川区(品川)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

建築費高騰の影響を受け、新築マンションの分譲戸数がやや減少するとともに、マンション分譲価格は建築費の上昇分を転嫁して上昇傾向にある。中古マンションも高額物件を中心に売行きは改善傾向にある。東日本大震災の影響が薄れて湾岸部の人気が回復していることから、当地区のマンション分譲価格は引き続きやや上昇している。

江東区(豊洲)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

オリンピック開催決定を機に将来のインフラ整備に対する期待から湾岸地域全体に対する需要が強まっていたが、ここへ来て交通、生活利便性の高い豊洲地区に需要が回帰する傾向が見られる。マンションの分譲価格は建築費の上昇を反映して上昇傾向にあり、新築の価格上昇から中古マンションの価格も上昇している。今後も大量供給が計画されているが、堅調な需要と建築費の高騰による販売価格の上昇が確認されていることから、マンション分譲価格は前期と同様にやや上昇している。

江東区(有明)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

オリンピック開催決定を機に当地区への注目が高まり、分譲価格は上昇傾向が続いていた。しかし、価格上昇により割安感が薄れ、交通、生活利便性の高い豊洲地区等に需要が回帰する傾向も見られ、当地区における成約単価の上昇傾向の過熱感は一段落している。ただし、湾岸エリア内で今後、大量供給が計画されている分譲マンションは、堅調な需要と建築費の高騰により一定の販売価格の上昇が確認されている。そのため、マンション分譲価格は総じてやや上昇傾向にある。

世田谷区(二子玉川)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

当期も新築分譲マンションの供給はなく、また、中古マンションについては、売り主側に再開発効果による将来の値上がり期待が強いため供給は限られている。しかし、個人投資家等の投資マインドは良好であり、中古マンションの価格は上昇している。新築マンションが供給された場合には新築マンション価格についても同様と考えられる。そのため、新築・中古マンションの分譲価格は総じてやや上昇している。

武蔵野市(吉祥寺)【マンション分譲価格:横ばい】

JR吉祥寺駅周辺地域におけるマンションは新築及び中古ともに需要の底堅さが窺えるが、立地面で劣る物件は契約までにやや時間を要する状況に変わりはない。新規供給が減少し、築浅の物件が徐々に少なくなっていることから、中古物件に対する需要も増加している。しかし、需要の中心となる価格帯は一定の相場内で形成されており、これが変動するほどの需要過多の状況にはない。そのため、総合的にはマンション分譲価格は前期から横ばいである。

立川市(立川)【マンション分譲価格:上昇(0%超3%未満)

駅至近の利便性が良好な新築マンションは、その稀少性から総じて人気があり、契約率は高い。現在、駅周辺で新規に分譲販売中のマンションが見られるが、即日完売となり販売状況は好調である。特に、駅近接の分譲マンションは、当地区の分譲価格水準を上回る価格設定であったが、即日完売であった。そのため、マンション分譲価格は前期と同様にやや上昇している。

神奈川

横浜市(都筑区/筑区センター南)【マンション分譲価格:横ばい】

当地区においては複数の販売予定の物件が確認された。当地区の主な需要者は一般のサラリーマン層であり、購入意欲は強いものの収入が大幅に上昇していない状況の中では、購入価格の引き上げは困難である。既に分譲価格は上限水準に達しているため、マンション分譲価格は引き続き横ばいで推移している。

横浜市(青葉区/美しが丘)【マンション分譲価格:横ばい】

当期、当地区では新しく分譲開始された小規模の物件があったが、短期間で完売した。市況感の好転のほか、低金利や税制の優遇など買いやすい環境が揃っており取得需要は強いが、6,000万円を超えるようなサラリーマン層に手が出しにくい価格帯の物件は動きが鈍い。エンドユーザーの購入可能価格には上限があることから、概ねマンション分譲価格は横ばいで推移している。

川崎市(中原区/元住吉)【マンション分譲価格:横ばい】

当地区の駅周辺地域における分譲マンションの販売は確認できなかった。駅徒歩5分の立地に計画されている小規模なマンションがまもなく分譲開始の予定であり、販売価格をどう設定するかが注目される。武蔵小杉駅周辺における分譲マンションの需要は引き続き強いが、価格設定が高い物件については設定価格を許容出来る消費者は多くなく、全般的に売れゆきは落ち着いているようである。既に消費者の許容可能価格は上限であるため、マンション分譲価格は横ばいで推移している。

川崎市(麻生区/新百合ヶ丘)【マンション分譲価格:横ばい】

当地区内及び周辺地区で最近分譲されたマンションは完売しており、需要は引き続き堅調であるこ とが窺える。素地の取得が困難になりつつあることから分譲マンションの供給も先細り感がある。 需要は強いものの、当地区における需要者は居住目的のエンドユーザーが中心で、分譲価格は高止まりで推移している。当地区におけるマンション分譲価格は横ばいである。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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