不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、不動産(マンション購入・賃貸)に係る分析記事を提供しているブログメディア

マンション業界における表示偽装

有名なレストランやホテルなどで、食材表示偽装が次々と発覚している。
最近では、「豚肉の生姜焼き和膳」を「豚肉の生姜だれ和膳」に、「ほうれん草のソティ」を「おつまみほうれん草」に変えたり(ファミレスのガスト)、「鮮魚盛り」を「刺し身盛り」に変えたり(居酒屋の甘太郎)、外食チェーンのどうでもいいような(と私は思うのだが)メニューの表現にまで見直す動きが広がっている。


マンション業界においては、「マンションの名称」「新発表」「新築」など、“表示偽装”など、いくらでもあると思うのだが――
そもそも、業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」がそのことを許容しているようなところがある。
以下、具体的に解説しよう。


人気のある隣りの地域名をマンションの名称に用いている
2020年の東京オリンピック開催決定により、会場に近いことで注目が集まる豊洲。
その豊洲をマンションの名称に含めた「○○豊洲」という某物件。
グーグルマップで調べると、この物件が建つ地域は、豊洲ではない。豊洲はこの物件が建つ隣の地域だ。
豊洲地域に建っていないのに、マンションの名称を「○○豊洲」とすることは許されるのか――
結論からいえば、この物件の場合には、許される。
業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」第19条に、「物件の名称の使用基準」として、次のように規定されているからだ。

(物件の名称の使用基準)

  • 第19条 物件の名称として地名等を用いる場合において、当該物件が所在する市区町村内の町若しくは字の名称又は地理上の名称を用いる場合を除いては、次の各号に定めるところによるものとする。
    • (1) 当該物件の所在地において、慣例として用いられている地名又は歴史上の地名がある場合は、当該地名を用いることができる。
    • (2) 当該物件の最寄りの駅、停留場又は停留所の名称を用いることができる。
    • (3) 当該物件が公園、庭園、旧跡その他の施設から直線距離で300メートル以内に所在している場合は、これらの施設の名称を用いることができる。
    • (4) 当該物件の面する街道その他の道路の名称(坂名を含む。)を用いることができる。
  • 2 別荘地(別荘又はリゾートマンションを含む。)にあっては、前項に掲げるところによるほか、次の各号に定めるところによることができる。
    • ※省略

上記の(2)に、物件の名称として「当該物件の最寄りの駅」の名称を用いることができるとなっている。
最寄りの駅はどこか?
この物件は3駅にアクセスできる。
絵にすると、こんな感じ。
この物件は3駅にアクセスできる
チラシに記載されている4駅への徒歩時間を比べると、有楽町線の「豊洲」駅が最も近い。最も近い駅(=最寄駅)が「豊洲」駅だから、物件名称に「豊洲」を使うことができるのだ。
人気の地域名をマンションの名称に用いることは、住民の満足感(優越感)を高める効果があるかもしれないが、どちらかといえば売主の販促都合。
マンションが建つ地域名を使わず、隣りの地域名を使うということは、その地域に人気がないことを意味している。


「新発売」が謳えないので「新発表」
「新発表」と「新発売」の違いが分かりますか?
業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」第18条(特定用語の使用基準)第(2)号によれば、「新発売」という用語は、次のような意義に即して使用しなければなないことになっている。

一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うこと(一団の宅地又は建物を数期に区分して販売する場合は、期ごとの勧誘)をいい、その申込みを受けるに際して一定の期間を設ける場合においては、その期間内における勧誘をいう。

ようするに、期分けごとに、初めて販売対象とする住戸に対して期間を設けて受け付ける広告に限り、「新発売」という表現を用いることが許されているということだ。
例えば、9月1日から9月14日までを登録受付期間として販売した場合には、9月14日付けの「本広告」までは、「新発売」と表示することが許されている。
ところが、その後売れ残った住戸に対しては、9月15日以降の広告では「新発売」と表示することが出来ないというのがルール。
「新発売」を謳えない売れ残り住戸に対して、特定用語の規制対象となっていない「新発表」という表現を代用して、新しさを“偽装”しているのだ。


1年以上経過すると未入居でも「新築」は謳えない
竣工して1年7カ月が経過した、臨海部に建つ大規模な某超高層マンション。
1年以上経過しているので、もはや新築を謳えない「新古マンション」だ。


新古マンションなのに、チラシの体裁は新築マンションそのもの。
というよりも、B4サイズを横長に2枚つなげたものが2枚も折り込まれている、とってもゴージャスな変形チラシ。
絵にすると、こんな感じ。
B4サイズを横長に2枚連結・2枚組


なぜ、これほどまでにチラシにおカネが掛けられるのか?
総戸数1,089戸というメガ・マンションにとって、たとえゴージャスなチラシであっても、1戸当たりすれば、わずかな出費でしかないからだ。


ちなみに、「新築マンション」の定義は、品格法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)第2条(定義)第2項に、次のように規定されている。

この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。

ようするに、竣工して1年未満で、未入居物件であれば「新築マンション」と呼べるのだ。
逆にいうと、それ以外の物件は「新築マンション」とは呼べない。
つまり、竣工して1年未満であっても、一度でも入居した物件は「新築マンション」とは呼べないし、竣工して1年以上のものも「新築マンション」とは呼べない。
成長とともに呼び方が変わる出世魚(ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ)ではないが、マンションも時間の経過とともに、呼び方が次のように変わるのだ。

  • 青田売り(新築マンション):販売開始から竣工日までに契約したマンション
  • 完成在庫(新築マンション):竣工日以降、1年未満の売れ残りマンション
  • 完成在庫(新古マンション):竣工して1年以上の未入居マンション




では、「中古マンション」の定義は?
一度でも入居していれば中古扱いされるのは確かなのだが――。
未入居物件については、竣工後1年以上を「中古」とする不動産業界(「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第3条第(10)号)と2年以上で「中古(住宅ローン上の線引き)」とする一部の金融機関など、定義にバラツキが見られる。
中古マンションの定義はともかく、新古マンション・中古マンションのメリットは、新築マンションに比べて、価格が安いこと、現物を見て検討できること、隣近所の入居者の様子が確認できることなど。

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2017年6月1日、このブログ開設から13周年を迎えました (^_^)/
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