不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンションのスラム化データ(賃貸化率・空室率)を可視化してみた


国土交通省のデータによれば、平成24年末現在の「全国のマンションストック戸数」は約590万戸(居住人口約1,450万人)。
図にするとこんな感じ。
全国のマンションストック戸数
このように過剰に供給されているマンションの行く末は、とっても気なるところ。
大規模な超高層マンションほどスラム化しやすいと思うのだが、デベロッパーは、スラム化問題を先送りしたまま(あるいは認識せずに)、大規模な超高層マンションの開発・販売に走る。


スラム化のプロセスは次のとおりだ。

  • 少子高齢化によるマンション需要の縮小で空き住戸が増加する。
  • 空き住戸の増加と共に、住民の高齢化や賃貸化が進み、大規模なだけに合意形成が困難で、管理組合が機能不全になる。
  • 管理組合が機能不全になると、適切な維持管理ができなくなるので、経済的に余裕のある人は二束三文で住戸を売却して出ていく。そしてマンションのスラム化が進む。
  • 二束三文でマンションを手に入れた住民と、脱出しそびれた住民には、もはやマンションを再生する力はない。
  • 物理的な耐用年数が経過したマンションを住民だけの力で、再生できないことはもちろん、撤去・更地にすることさえできない。
  • 倒壊の危険があっても、住民に代わって、朽ち果てていくマンションを撤去・更地にする財政的な余裕は自治体にはないであろう。



マンションのスラム化の実態はどうなのか?
残念ながら、そのような公的な調査データは見当たらない。
ただ、国土交通省が5年ごとに調査している「マンション総合調査」から、その一端をうかがい知ることができる。
最新の調査(平成20年度)の報告書をひも解くと、竣工時期別の「賃貸戸数割合」と「空室(3ヶ月以上)戸数割合」が表形式のデータとして開示されているのだ。
視認しやすいようにグラフ化したのが次図。

竣工時期別の賃貸化率(棟数ベース)
竣工時期別の賃貸化率(棟数ベース)
竣工後10年ほど経つと賃貸化率20%を超えるマンションが約2割、15年以上経過すると約4割を占めるようになる。


竣工時期別の空室率(棟数ベース)
竣工時期別の空室率(棟数ベース)
空室率5%超で見ると、竣工後10年で、約1割を占めている。15年後、約2割に増え、35年経つと約4割まで拡大していることが分かる。


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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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