不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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激安な修繕積立金

駐車場跡地に建つ小規模マンション。

【第1期 本広告】大手町駅直通14分、駅徒歩8分。総戸数22戸、8階建。販売戸数8戸、2LDK(59.34m2)〜4LDK(80.28m2)。販売価格3,660万円〜5,280万円。平成25年9月下旬竣工(本チラシ掲載日の半年後)。

B4判のチラシのオモテ面の右下に「売主」と「販売提携(代理)」と「販売提携(復代理)」、3社のロゴと社名が掲載されている。
いずれも無名のカタカナ名称企業。
「売主」と「販売提携(代理)のロゴは同じなので、グループ会社であることが分かる。


チラシ裏面の「物件概要」に目を凝らすと、設計・監理は有限会社。
施工会社と維持管理会社もあまり知られていない会社。


知名度の低い企業でも、宅地建物取引業免許と土地さえあればマンション事業を始められるという典型例。
小規模マンションであれば、資金調達も少なくてすむし、特別な施工技術を要しないから、中小ゼネコンでも対応しやすい(それだけ、価格競争に陥りやすいともいえる)。


この物件で気になるのは、修繕積立金(3,100円〜4,100円)の安さだ。
管理費(9,000円〜12,200円)の3分の1しかない。
m2当たりにすると、月額約52円(=3,100円÷59.34m2)。
月額約52円という修繕積立金は、かなり低めの水準だ。


国土交通省が2009年4月10日に公表した「平成20年度マンション総合調査結果」によれば、修繕積立金は「50円超〜100円以下」が21.6%(不明を除くと30.6%)と最も高く、次いで「100円超〜150円以下」が18.0%(不明を除くと25.5%)となっている。
「平成20年度マンション総合調査結果」より作成


マンションの分譲段階で分譲事業者設定した修繕積立金の当初月額が著しく低く設定され、必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、修繕工事費が不足するといった事例生じている背景を踏まえ、国土交通省が2011年4月18日に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を公表している。
「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」より作成
同ガイドラインによれば、延床面積5,000m2未満のマンションの修繕積立金(月額)は165〜250円/m2(平均218円/m2)が目安とされている。
本物件の月額約52円という修繕積立金は、ガイドラインが目安としている平均額(218円)の4分の1にも満たない激安価格だ。


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