硝子メーカの工場跡地に建つ、大規模マンション。
【第三街区 予告広告】船橋駅直通2分、駅徒歩1分。総戸数370戸、11階建。販売戸数/未定、3LDK(71.80m2)〜4LDK(100.83m2)。予定販売価格2,500万円台〜5,600万円台、予定最多価格帯3,700万円台。平成25年7月上旬竣工(本チラシ掲載日の10カ月後)。
- ※1月14日(土)の物件と同じ。
新聞全紙大のチラシのオモテ面に即日完売の実績が喧伝されている。
〇〇(=物件名)「一街区・二街区」全573戸即日完売!
本日のチラシは、総戸数370戸「三街区」の予告広告。
チラシ裏面の「物件」概要に目を凝らすと、興味深いことが記されている。
※一・二街区販売時のご登録落選者に対して、三街区販売時に5倍の倍率優遇を予定しております。予めご了承ください。
一・二街区の落選者にとって、「5倍の倍率優遇」はどれほどの威力があるのか?
以下に試算してみた。
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まず、一・二街区の倍率はどのくらいだったのか?
不動産経済研究所が8月16日に発表した「首都圏のマンション市場動向」によれば、この物件の一・二街区(総戸数573戸)の競争倍率は「平均1.63倍、最高6倍」であったとされている。
そこで、三街区の平均競争倍率も1.63倍と仮定する。
その場合、三街区の総戸数は370戸なので、603人(=370戸×1.63倍)の申込みがある。
一方、一・二街区(総戸数573戸)の落選者数は361人(=573戸×1.63−573戸)。
仮に、この元落選者全員361人が三街区にも申込みするとすれば、非元落選者の申込み数は242人(=370戸×1.63−361人)となる。
このとき、非元落選者242人にとって、実質的な倍率は次式により5.53倍(当選確率はその逆数の0.18)となる。
- 5.53=(非元落選者242人+元落選者361人×倍率優遇5倍)÷370戸
このとき、元落選者361人にとって、実質的な倍率は1.11倍(=5.53倍÷5倍)。
つまり、元落選者全員361人が三街区にも申込みすると仮定すると、彼らの当選倍率は1.11(当選確率0.9)となり、かなり高い確率で当選することができる。
ただし、人気の高い住戸に限定した話ではなく、あくまで人気が平均的な住戸であることが前提。
では、元落選者全員361人ではなく、半分(180人)が三街区に申込みした場合には、どうなるのか?
非元落選者の申込み数は、423人(=370戸×1.63−180人)。
このとき、非元落選者423人にとっての実質的な倍率は3.58(=(非落選者423人+元落選者180人×倍率優遇5倍)÷370戸)、(当選確率はその逆数の0.28)。
このとき、元落選者180人にとって、実質的な倍率は0.72倍(=3.58倍÷5倍)。
つまり、優遇倍率5倍の権利を有する元落選者からの申込みが半減することで、非元落選者の実質的な倍率は5.53倍から3.58倍に下がるし、元落選者は100%当選することができる。
では、元落選者にとって100%の当選確率が期待できるのは、元落選者361人のうち、何割が三街区に申込みをした場合なのか?
計算過程を端折って結論だけをいうと、元落選者361人の86%(310人)以下が申し込んだ場合に、元落選者は100%当選することができる。
以上は、三街区の平均競争倍率が一・二街区と同等の1.63倍と仮定した場合の結果だ。
それにしても、元落選者にとって倍率優遇5倍で、圧倒的に当選確率が高まることが分かる。
逆にいえば、一・二街区に申し込まなかった人が三街区に申し込んだ場合には、圧倒的に不利であることが分かる。
(本日、マンション広告3枚)