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震度7が想定された地域がどのあたりなのか、行政地図を重ねてみた

文部科学省の「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」の研究チームが3月30日、首都直下で起こる東京湾北部地震の各地の揺れを再計算し、最新の震度分布地図を公表。
平成17年の中央防災会議の検討と比較すると、西側に仮定された強い地震動を発生する領域の近傍で震度6強の領域が広くなるとともに、中央防災会議の検討ではほとんどみられなかった震度7の地域が点在する結果となった。


首都直下地震の見直しにより震度7になるという発表があったのは3月8日。
その内容の一部の発表が今日までかかったのは「本プロジェクトの成果のうち、3月8日の成果発表会時点では精査中であった地表の震度分布図について、精査が完了したため」ということだ。
このあたりの情報開示のスピードは、3.11のときの予測情報緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI(スピーディ)」の開示の遅さを想起させる。


ただ、「公表したくなかったが、強く指示された」という東京大地震研究所の纐纈一起教授のMSN産経ニュース(3.30 19:46)記事からは、国(文科省)が情報開示を急いだ様子がうかがえる。

作成の東大教授「公表したくなかったが、強く指示された」MSN産経ニュース
文科省は首都直下地震の震度分布を推定した地図を公表しながら、具体的な市区町村名は明言を避けた。
作成に当たった東京大地震研究所の纐纈一起教授は「今回はあくまでも試算で、自治体が直接利用することを想定していない」。
分布図は都県の境界を記した地図に、1平方キロごとに推定される震度を色で示している。記者会見で報道陣からは「自治体の問い合わせにも答えないのか」「国の予算を使った研究なのに、なぜ公表できないのか」などの質問が続出。
纐纈教授は「精度が粗く都県までしか示せない。
いくつもある想定地震の一部にすぎず、非常に多くの仮定を置いた推定で市区町村の震度を示すのはかえって危険だ」などと弁明を繰り返した。
しかし、分布図では都県の境界付近などの「震度7」は、ほぼ市区町村まで特定が可能であることを問われると、纐纈教授は「本来は、私自身は公表したくなかったが、公表するよう強く指示された」と文科省の指示があったことを明かした

今回、研究チームが公表した震度分布図は、断層の破壊開始地点に応じて次の3つのケースがある。

  • 中央防災会議の仮定と同じ中央部(ケース1)
  • 必ずしも中央部から破壊が開始されるとは限らないことから東端部(ケース2)
  • 必ずしも中央部から破壊が開始されるとは限らないことか西端部(ケース3)

中央防災会議の仮定と同じとされる「中央部(ケース1)」の震度分布は次図。
東京湾北部地震の震度分布(ケース1)
「今回の試算は多くの仮定に基づいているので、結果の中で強い揺れが予測された地域だけ将来の地震災害に備えれば良いということを意味しない。南関東のどこでも首都直下地震による強い揺れに備えるべきである」ということなのだが――
震度7が想定された地域がどのあたりなのか気になるので、公表された「中央部(ケース1)」の震度分布に行政地図を重ねてみた。
震度7が想定された地域がどのあたりなのか
震度7が想定されているのは、概略以下の地域となった。

  • 都内
    • 足立区の南部
    • 荒川区の東部
    • 江戸川区の南部
    • 江東区の南部
    • 品川区の東部
    • 大田区の中央部


  • 神奈川県
    • 高津区の南部
    • 川崎区の西部
    • 幸区の東部

※「試算の際に用いた地下構造モデルの空間分解能は数km程度であるので、結果の空間分解能も同程度である。したがって、公表した図面以上の精細さで結果を表示することは結果の空間分解能を超えている」ということに要留意。


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