不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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大震災時にマンションの資産価値がゼロになるリスクを回避する

東日本大震災からちょうど1年。被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
震災後、「持ち家志向」に変化があったという声も聞かれるが、各種調査を見るとどうもそうでもないようだ。

ネット調査にみる、震災後も根強い持家志向

東急住生活研究所が2011年5月に実施した「首都圏の25歳以上の男女に聞く 住宅計画に関する意識調査(住生活1000人調査)」結果によれば、「持家志向のゆらぎは自由回答ではみられるものの、『持家であることが基本』も昨年より上昇した項目となっており、依然持家志向は底堅い」とされている。
また、リクルートが2011年9月に東京圏(首都圏1都3県と茨城県)の生活者を対象に行ったインターネット調査でも、賃貸住宅居住者のうち今回の震災によっても持ち家意向に「あまり変化はない」と答えた人が67.9%と、ほぼ7割を占めている。


不動産会社がスポンサーである、東急住生活研究所やリクルートの調査でなくても、たとえば、マーケティングリサーチを行う(株)メディアインタラクティブが2011年9月に独自で実施したネット調査「住宅購入に関する意識調査」(全国の30歳以上の持家でない男女、有効回答数500人)においても、「購入意向は6割を超え、多数の方が持家に住みたいと考えている」とされている。


このように、震災後も賃貸居住者の持ち家志向は根強いようだ。
今回の震災で、マンションの資産価値がゼロになる多数の事例を目の当たりにして、マンションを購入(所有)するリスクがいかに大きいかということは認識されたはずなのだが・・・・・・。


新築マンションが首都直下地震に見舞われる可能性は高い

中央防災会議によれば、首都直下地震は30年以内に70%の確率で発生すると想定されている。
文部科学省の研究チームの3月7日の発表によれば、東京湾北部でマグニチュード7クラスの地震が発生すると、中央防災会議が従来想定していた「震度6強」より大きい「震度7」の揺れが予想されるというのだ。
首都直下地震の発生確率は、30年以内に70%。
新築マンションの実質的な耐用年数が30〜40年程度だから、この間に大地震に見舞われる可能性はかなり高いといえよう。


大震災時にマンションの資産価値がゼロになるリスクを回避するためには

マンションが被災して資産価値を失うリスクを避ける方法は、次の二つしかない。
一つは、地震保険をかけておくこと
そしてもう一つは購入(所有)ではなく、賃貸とすること


地震保険を掛けておいても100%安心できないことは、今回震災関連ニュースで知るところだ。
直ぐに保険金が下りないことや、下りたとしても、生活の再建に十分必要な額が得られるとは限らない。


賃貸であれば、被災していないマンション(地域)に移り住むことができるので、引っ越し代の負担はあるものの、住宅ローンを抱えながら被災マンションの再建に取り組むリスクを避けることができる。
賃貸の場合には、被災マンションの再建リスクは、居住者ではなく、家主が負っているのだ。


マンションを購入(所有)することは、震災時に資産価値がゼロになるリスクを負っていることを認識する必要があろう。
震災を契機にマンションを「所有」することから「賃貸」することへの意識の変化が大きなトレンドになったとしても、賃貸マンション市場が貧弱ではその受け皿にはならない。
業界主導の新築主義から脱却し、中古市場の整備と併せて、良質な賃貸マンション市場の整備が待たれる。


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