不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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耐震偽造を契機に、住宅性能評価取得戸数が増えた主原因は?

平成18年度、19年度と住宅性能評価取得戸数が増えたのは、耐震偽装の影響を受けて、ブランド力のない中小デベロッパーによる、箔付け目的(最低等級1でも評価書の取得を謳える)の性能評価書の取得に拍車がかかったからではないかという趣旨の記事(10月14日(金) かつては「耐震等級2」取得マンションの割合が高かった)を投稿したところ――
「違うと思うよ」さんから、「ブランド力のない中小デベロッパー」よりも、大手各社が必ず住宅性能評価を取得するようになったことが原因だと思いますよ」とのコメントを頂戴した。


平成18年度(06年度)、19年度(07年度)と性能評価取得戸数が増えたのが、「ブランド力のない中小デベロッパーが増要因」なのか、あるいは「大手各社が必ず住宅性能評価を取得するようになったことが増要因」なのか。
そのことを直接的に証明できる公開データは見当たらないので、参考になりそうなデータをもとに、分析してみた。


住宅性能評価の普及率の推移
一般社団法人 住宅性能評価・表示協会のホームページに、平成12年度から21年度の「住宅性能表示制度の普及率の推移」として「共同住宅等の普及率」のデータが掲載されていたのでグラフ化してみた。
住宅性能評価の普及率の推移
耐震偽造事件が発覚したのが05年11月。
05年度の普及率18.2%に対して、06年度24.7%、07年度26.2%と急上昇していることが分かる。
ところが、08年9月のリーマンショックを境に、08年度の普及率21.9%と減少に転じ、09年度は18.4%と耐震偽造事件発覚以前の水準に逆戻りしている。


このデータだけでは、耐震偽造事件発覚からリーマンショックまでの間に、性能評価取得戸数が増えたのが、「ブランド力のない中小デベロッパーが増要因」とは言い切れない。
そこで、さらに別のデータをひも解いてみた。


全国主要都市の発売戸数に対する上位20社の合計販売戸数のシェアの変化
不動産経済研究所が毎年2月に発表している「全国事業主別の供給戸数ランキング」データを用いて、全国主要都市の発売戸数に対する上位20社の合計販売戸数のシェアの変化をグラフ化してみた。
全国主要都市の発売戸数に対する上位20社の合計販売戸数のシェアの変
耐震偽造事件が発覚した05年も含めて、リーマンショックが発生する前の年までは、上位20社のシェアは概ね40%で推移していた。
ところが、リーマンショックが発生した08年は43.4%、09年は49.3%とシェアが上昇しているのだ。
リーマンショック以降の上位20社のシェアの上昇は、ブランド力・財務体質力とも劣後する中小デベロッパーの苦戦する状況を表している(実際にも多くの新興デベロッパーが経営破たんしている)。


「住宅性能表示(共同住宅等)の普及率」と「発売戸数上位20社のシェア」の関係
「年度」と「年」の違いはあるが、上記の2種類のデータ、すなわち「住宅性能評価の普及率の推移」と「上位20社の合計販売戸数のシェアの変化」を並べてみるとどうなるか?
住宅性能表示(共同住宅等)の普及率」と「発売戸数上位20社のシェア
耐震偽装事件発覚以降、上位20社のシェアは約40%と変わらないまま、住宅性能表示(共同住宅等)の普及率のほうは、18.2%(05年)、24.7%(06年)、26.2%(07年)と上昇を続けている。
この事象は、耐震偽造事件を契機として、ブランド力のない中小デベロッパーによる性能評価書の取得数が増加したことを意味している。


08年のリーマンショックで中小デベロッパーの新規マンション事業が縮小するのと呼応するかのように、普及率のほうも21.9%(08年)、18.4%(09年)と減少している。
もし、「大手各社が必ず住宅性能評価を取得するようになったことが増要因」であったならば、リーマンショック以降、上位20社のシェアは上昇しているのだから、住宅性能表示(共同住宅等)の普及率は減少しないはずだ。
ことからも、住宅性能表示(共同住宅等)の普及率の上昇は、主に「ブランド力のない中小デベロッパーが増要因」であったと考えられる。


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2017年6月1日、このブログ開設から13周年を迎えました (^_^)/
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