不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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かつては「耐震等級2」取得マンションの割合が高かった

敷地の東側を幹線道路が走る、南側のタワーマンションで眺望が期待できない中規模マンション。

【第1期 先着順】大手町駅直通7分、駅徒歩6分。総戸数74戸(管理事務室1戸を含む)、12階建。販売戸数20戸、2LDK+S(67.71m2)〜3LDK(68.60m2)。販売価格4,260万円〜5,180万円。平成24年12月中旬竣工(本チラシ掲載日の1年2カ月後)。

  • ※9月16日(金)の物件と同じ。

新聞半紙大のチラシのオモテ面に、耐震性能の高さを強調するキャッチコピー。

  • 耐震等級[2]取得マンション
    • 平成21年度に「構造躯体の倒壊等防止」で「耐震等級2」を取得した共同住宅は、3.7%しかありません
      • 一般社団法人住宅性能評価・表示協会のホームページ内、平成21年度建設住宅性能評価書(新築)データより



おやっ?
チラシ裏面の「物件概要」に目を凝らすと、「建築確認番号/ERI********号(平成23年5月13日付)」と記されている。
建築確認が下りたのが平成23年5月なのに、なぜ、「耐震等級2」3.7%の希少性のデータを平成22年度ではなく、平成21年度から引用しているのか?


一般社団法人住宅性能評価・表示協会のホームページを覗いてみた。
理由は単純だった。
同協会のホームページには、平成13年度から平成21年度までのデータしか開示されていないのだ。


せっかくなので、平成13年度から平成21年度までの「構造躯体の倒壊等防止」の取得等級のデータをグラフ化してみた。


取得戸数の経年変化
「構造躯体の倒壊等防止」に係る建設住宅性能評価書(共同住宅等)の取得戸数の経年変化は次図の通り。
取得戸数の経年変化

平成19年度をピークに「等級1」の取得戸数が増加していること、「等級2」「等級3」の取得戸数が少ないことがよく分かる。


では、「等級1」「等級2」「等級3」の取得の割合はどうなのか?

取得%の経年変化
取得%の経年変化
平成21年度の「等級2」の割合は、たしかに3.7%と少ないのだが――
耐震偽装事件が発覚する平成17年11月以前の「等級2」は、平成13年度78%、平成14年度48%、平成15年度23%と漸減傾向にあるものの、高い割合を占めていたのだ。


耐震偽装の影響を受けて、平成18年度、19年度と性能評価取得戸数は増えるものの、「等級1」の割合が増加している(「等級2」の割合が減少)のは皮肉なものだ。


ブランド力のない中小デベロッパーによる、箔付け目的(最低等級1でも評価書の取得を謳える)の性能評価書の取得に拍車がかかった様子が想像される。


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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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