不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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グーグルの不動産検索サイトは、黒船となるか

グーグルマップへの不動産検索機能追加(8月12日リリース)に対して、業界の反応が比較的落ち着いていることについて、10月29日のasahi.comには次のように記されている。

(1)検索物件が賃貸物件に留まっており、売買物件や新築分譲物件についてはまだ実装できていないこと
(2)物件登録にジアースが介在することで、売主や大家が直接グーグルに登録できる仕組みになっていないこと。
つまり、物件情報の流れや問い合わせの流れは既存の流れとほとんど変化がないこと―など、業界への影響が今のところ限定的なためと見られる。

グーグルが始めたこの賃貸物件の検索サービス(物件の登録料無料)の影響を受けるであろう、住宅・不動産情報ポータルサイト「HOME’S」を運営しているネクスト社の業績を調べてみた。
具体的には、ネクスト社が開示しているIR情報から「HOME’S賃貸・不動産売買」「HOME’S新築分譲マンション」の売上高、物件掲載数などをグラフ化してみた。

売上高・加盟店数の推移
売上高・加盟店数の推移(HOME'S)
売上高は、9月が約7億円。うち84%が「賃貸・不動産売買」によりもの。「新築分譲マンション」は16%にすぎない。
加盟店数は、2010年3月の11,413店をピークに漸減傾向にある。


売上高・掲載物件数の推移(新築分譲マンション)
20101030162542
「新築分譲マンション」に目を向けると、掲載物件数は減少傾向にあるものの、売上高は8千万円〜1億円の間をキープしている。


売上高・掲載物件数の推移(賃貸・不動産売買)
売上高・掲載物件数の推移(賃貸・不動産売買)
「賃貸・不動産売買」は、「新築マンション」と異なり、掲載物件数は増加傾向にある。
ただし、売上高は約6億円に留まっている。




ネクスト社が「新料金体系」を発表したのは、平成22年9月2日。
基本料金が月額15,000円(旧)から10,000円(新)に値下げされ、登録物件数が無制限となったものの、問合せ件数に比例して課金される。
Yahoo!掲示板<2120 (ネクスト)>を見ると、不動産業者にとっては大幅な負担増になることが懸念されているようだ。


この新料金体系は来年(平成23年)1月から導入されることになっているので、年末年始に向けて、HOME’Sへの加盟店数(9月現在:11,080店)の変化が気になることころ。
グーグルの無料登録の不動産検索サイトの登場は、不動産業者にとって“無料”の恩恵が得られる一方で、これまで不動産情報を秘匿していた優位性を喪失する可能性も秘めている。
このあたりの事情について、10月12日の住宅新報記事で、(株)シェア社長の東秀信氏が次のように述べている。

将来すべての物件がサイト上で流通するようになれば不動産会社の仕事は売主または買い手側のエージェントになるしかない。
物件の周囲を多くのユーザーが回っていたと考える天動説から、ユーザーこそが中心でその周りに無限に近い物件の海が広がっていると見る地動説にシフトしていくことになるだろう。

グーグルの不動産検索サイトの登場は、不動産業界に開国を迫る黒船となるか。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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