不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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1等賞品が5万円分の旅行券に止まっているのはなぜ?

幹線道路沿いに建つ中規模マンション。

【先着順】大手町駅直通14分、駅徒歩9分。総戸数52戸、14階建。販売戸数4戸、3LDK(64.54〜73.22m2)。販売価格4,100万円・4,610万円・4,830万円・5,090万円。平成21年10月竣工済み(本チラシ掲載日の4カ月前)。

  • ※09年7月18日(土)の物件と同じ。

新聞半紙大のチラシオモテ面に販促のキャンペーン。

  • 期間内にご来場いただいた方全員に抽選で豪華賞品プレゼント!
    • 1等 JTB旅行券 5万円分(1名様)
    • 2等 JTB旅行券 1万円分(2名様)
    • 3等 JTBナイスギフト 3,000円分(20名様)
    • 4等 クオカード 1,000円分(50名様)
    • 5等 クオカード 500円分(1〜4等以外の全員)

竣工して4カ月が経過。売れ残った4戸を売り切るための「豪華賞品プレゼント!」作戦。
また、ゴマ粒サイズの小さな文字で次のような注釈も併記されている。

  • ※景品表示法等の規制により、1世帯当たりの景品総額には限度がございます。
  • ※1/9(土)〜2/21(日)までにご来場のうえアンケートにご記入いただいた方が対象となります。
  • ※抽選は1世帯に付き期間中1回とさせていただきます。

以下にこの「豪華賞品プレゼント!」の仕組みを考察してみよう。


「不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」第3条(一般消費者に対する景品類の提供の制限)では、いわゆる「懸賞景品」を次のように規制している。

事業者は、一般消費者に対し、次に掲げる範囲を超えて景品類を提供してはならない。

  • (1) 懸賞により提供する景品類にあっては、取引価額の20倍又は10万円のいずれか低い価額の範囲。ただし、この場合において提供できる景品類の総額は、当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内とする。
  • (2)※省略。

懸賞景品の最高限度額に対して、「取引価額の20倍」のほうの選択はないだろうから、最高限度額(=1等賞)は10万円となる。
また、総額は、「取引予定総額の100分の2以内」だから、372,600円(=4戸の合計額18,630万円×2%)が上限となる。
一方、「豪華賞品プレゼント!」の1等から4等までの総額は、101,000円。
よって「5等 500円分クオカード」を配れる枚数の上限は543世帯分(=[総額上限372,600円−1等から4等までの総額101,000円]÷500円)となる。


仮に1等賞品が「JTB旅行券5万円分(1名様)」でなく、限度額の10万円分(1名様)に倍増すると、「5等 500円分クオカード」を配れる枚数は100世帯分(=5万円÷500円)減らさなければならない勘定だ。
それでも、443世帯(=543世帯―100世帯)もモデルルームも来ないだろうから、景表法的にはOKだ。


さらに「2等 JTB旅行券 1万円分(2名様)」を「1万円分(10名様)」に増やすと、「5等 500円分クオカード」を配れる枚数は160世帯分(=8万円÷500円)減らさなければならない。
すなわち283世帯分が「5等 500円分クオカード」を配れる上限人数となる。


でも、7回の週末を含むキャンペーン期間中(1/9〜2/21)に、283世帯がモデルルームに押し寄せるかというと微妙。
よって、この「豪華賞品プレゼント!」は、景表法の上限価格で設定されたとうよりも、豪華商品の原資がマンション購入額に含まれていることを知っている賢い消費者を意識して設定された結果か・・・・・・。

(本日、マンション3枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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