不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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総計画戸数に建築確認未取得戸数を計上することの是非


本日、マンション広告7枚。

【予告広告】日本橋駅直通43分、駅徒歩5分。総戸数241戸、11階建+13階建。販売戸数/未定、3LDK(787.112m2)〜4LDK(19.58m2)。販売価格2,400万円台〜4,600万円台、最多価格帯3,000万円台(22戸)。平成22年8月中旬竣工(本チラシ掲載日の7カ月後)。

千葉県郊外に建つ、大規模マンション。


「エリア最大級の総計画戸数710邸」を謳う、B4判を2枚ヨコ長につなげた変形チラシ。


チラシ裏面の「物件概要」には、「全体開発戸数(予定)/710戸」として次のように記されている。

  • ※第1工区327戸、第2工区241戸、第3工区142戸(第3工区は建築確認未取得の為予定戸数となります。)

各工区と棟の関係を図示すると次のようになる。

総計画戸数に建築確認未取得戸数を計上することは許されるのか?
宅建業法第33条では、建築確認取得前の広告表示を禁じている。
禁じている理由は次のとおりだ。

宅地の開発計画やマンションの建設計画を建てても、確実にその計画が実現される保証はない。
開発許可又は建築確認を受けることができなかったり、大幅な計画変更を余儀なくされたりした場合には、広告・表示どおりの物件を供給することはできなくなるおそれがある。
このように、計画実現性について法的な保障がない時点から販売広告をできるとすると、その広告・表示を見た消費者は、自分の期待した住宅・宅地の取得のチャンスを失うこととなり、他方、他の競争事業者は自己の顧客を失う結果となるおそれがある。

(不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会編「不動産広告の実務と規制 9訂版」頁38より)

今回の発売対象である第2工区241戸を検討する人にとって、第3工区(建築確認未取得)の予告は重要な情報だとは思う。
ただ、消費者利益の観点からは、法的な保障がない第3工区142戸を加え、全体開発戸数の大きさを強調する広告表現は慎むべきだ。
第2工区241戸を検討する人にとって、本当に告知すべき情報は、第3工区の総戸数(142戸)よりも、第3工区の存在によって、将来、南側の眺望や日照・通風が妨げられる恐れがあることだろう。

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