【自由設計型マンションの募集広告】JR○○駅徒歩5分。総戸数14〜17戸、10階建。募集戸数14〜17戸、40.72m2と78m2が中心。販売価格/未定。平成23年11月竣工(本チラシ掲載日の1年10カ月後)。
NPO法人の企画・コーディネイトによる、自由設計型マンション(いわゆるコーポラティブ方式のマンション)。
自由設計型マンションの募集広告(B4判)は珍しい。
快適な住まいは、自分たちでつくる。
安心の暮らしは、顔見知りと住む。
コーポラティブ方式とは、自ら居住するための住宅を建設するものが組合を結成し、協同して事業計画を進め、土地の取得、建設の設計、工事発注、その他の業務を行い、住宅を取得する方式。
次のようなメリットがあるといわれている。
(1)共同住宅の場合においても、業者が分譲したマンションを購入する場合と比較して、自己の好みに合った住宅を取得することが期待できる。
(2)住宅需要者が自ら住宅づくりに参加できるという喜びが存在し、さらに、良好な環境づくりや居住者間のコミュニティの基盤の形成が期待できる。
(3)組合員が自らの手で計画作成、請負契約等を行うことにより、住宅取得価格を引き下げることが期待できる。
※不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会の編著による『不動産広告の実務と規制(9訂版)』からの引用。
同志を募集し、それから設計していこうというコーポラティブ方式のマンションの場合、建築確認申請が下りていない段階から広告を出す必要がある。
そのため、一般のマンションとは異なり、コーポラティブ方式のマンション広告を出すためには、次の要件を満たしていなければならない(「不動産の表示に関する公正競争規約」第7条(自由設計型マンション企画に関する表示))。
- (1)次の事項について、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で表示していること。
- ア 当該企画に係る基本計画である旨及び基本計画の性格
- イ 当該企画の実現に至るまでの手順
- ウ 当該企画に関する意見聴取のための説明会等の開催時期及び場所
- エ 意見聴取に応じた消費者に対し、当該企画に基づく物件その他の物件の取引を拘束するものではなく、また、これらの取引において何ら特別の取扱いをするものではない旨
- オ 当該企画の実施に際しては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分を受ける必要がある旨及び未だ受けていない旨
- カ 当該企画の実施の段階において、顧客の注文による設計変更図面作成費、追加工事費その他の費用を必要とするときは、その内容及び額
- (2)当該企画に係る基本計画について、建ぺい率・容積率の制限の範囲内において建築可能な限度を示すための透視図並びに消費者の意見を求める基礎となる外観図及び平面スケッチを示す場合においては、消費者の意見を聴取する場合の手がかりとして示すものであって、具体的な実施計画の内容を示すものではない旨を、これらの表示に接する位置に明示していること。
- (3)当該企画のコンセプトに関する説明及び前号に規定する図面等を除き、建物の具体的な設計プランを表示していないこと。
驚いたことに本日の広告で上記要件を満たしているのは、「説明会等の開催時期及び場所」が表示されていることと、「建物の具体的な設計プランを表示していないこと」の2点のみだ。