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販売在庫数が、昨年の12月の1万2千戸台をピークに徐々に減少を続けていることは、このブログでも何回が取り上げた。
販売在庫数の減少は、マンション不況化において、資金の回収に迫られた中小デベロッパーが中心となって、新規の供給を抑制し、在庫の圧縮に走った結果とされている。
「販売在庫数」が減少を続けているのは確かだとしても、そもそも「発売戸数」そのものが抑制されているとすれば、まだ発売されていない「隠れ在庫」は一体どれくらいあるのか?
国交省が毎月公表している住宅着工統計の「新設マンション着工数(首都圏)」と不動産経済研究所が毎月発表している首都圏マンションの「発売戸数」と「販売在庫数」を、2008年1月を起点に、それぞれの一つのグラフにまとめてみた(右上グラフ参照)。
※「発売戸数」との乖離を見るために、「着工戸数」のほうは横軸を半年ずらしてある。
グラフを見ると、「発売在庫」は少しずつ減少しているものの、「着工戸数の累計」と「発売戸数の累計」の差は逆に徐々に開いている様子が分かる。
ただ、不動産経済研究所の「新築分譲マンション」は、「3階建以上の民間中高層共同分譲住宅(投資用・定期借地権・賃貸・非分譲住戸・店舗・事務所は含まず)」 。
一方、国交省の「新設マンション」は、「鉄骨、鉄筋造の共同住宅で分譲されるもの(届出義務のない床面積10m2以下の建築物は含まれていない)」。
どちらかといえば、不動産経済研究所の「新築分譲マンション」よりも国交省の「新設マンション」のほうが対象としている範囲が広いので、右上のグラフから、ただちに「隠れ在庫」が増加しているとまではいいきれない。
年度末の竣工ラッシュに向かって、さらに「隠れ在庫」が増えるのか? あるいは「発売在庫」が増加に転じるのか?
需要の回復が見込まれない中で、各デベロッパーは難しいかじ取りを迫られている。