不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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売主が特定目的会社のマンションは買いか?

爆音施設と道路一つ挟んで建つ、1年半前に竣工済みの大規模マンションのチラシ。

【サマーステージ1 本広告】東京駅直通24分(快速利用)、駅徒歩8分。総戸数684戸、22階建。販売戸数56戸、2LDK(75.36m2)〜4LDK(126.21m2)。販売価格2,498万円〜5,798万円。平成20年2月15日竣工済み(本チラシ掲載日の1年半月前)。

  • ※08年2月15日(金)・4月28日(月)・6月5日(木)・7月17日(木)の物件と同じ。



B3判のチラシのオモテ面下部に、ゴマ粒サイズの小さな文字の注釈。

当物件は諸般の事情により販売を中断しておりましたが、この度販売を再開することになりました。
売主持分514戸を時期を分けて販売いたしますが、今回は56戸を「サマーステージ1」として販売いたします。
また、売主は、商号を○○特定目的会社から△△特定目的会社に変更いたしました。

これだけでは何のことかサッパリ分からないだろうから少々解説しよう。
この物件の当初の売主の1社である新興デベロッパーが経営破たんで抜けた後、売主として残ったのは、外資系の企業と特定目的会社(08年07月17日(木) そして外資系の売主が残った参照)。
その後、さらにリーマンショックの影響で外資系の売主も撤退。
この物件の販売が宙に浮いていた。
以上が「諸般の事情」。


そして本日の「サマーステージ1」の本広告。
「総戸数684戸のうち、売主持分514戸」と注釈されているから、今回の再販開始以前に170戸(=684戸−514戸)が売れていたことになる。
『マンション・チラシの定点観測データベース』によれば、これまでの発売履歴は、次のとおり。

  • 第1期1次:53戸
  • 第1期2次:91戸
  • 第2期:101戸
  • 第3期:37戸

よって、第1期から第3期までの累計発売戸数は282戸。
ところが、実際に売れたのは、上述の170戸。
つまり、“発売戸数”の6割(=170戸÷282戸)しか売れていなかったのだ!


さて、今回の再販物件の56戸。
価格帯が2,498万円/2LDK(75.36m2)〜5,798万円/4LDK(126.21m2)だから、単純に割り算すると、坪当たり単価は109万円〜152万円。
たしかに安い。まさに“アウトレット価格”だ
ただ、売主は△△特定目的会社。
将来、不具合が発見された場合のクレームの持っていき先としては、心もとない限りだ。

(本日、マンション広告1枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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