不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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決算短信にみるマンション不況(住友不動産・大京・東急不動産)

「価格高騰・着工戸数の激減・金融遮断による倒産続出で市場は壊滅(不動産経済研究所「2009年上期の首都圏マンション市場動向」08年7月14日)」といわれる中で、不動産会社の経営状況はどうなっているのか?
大手不動産会社の直近の決算短信から抜粋してみた。

■住友不動産(不動産販売事業部門) ※平成21年3月期 決算短信(平成21年5月12日リリース)
【当期の営業成績】
(前略)
計上戸数は増加したものの、前期に高採算の大型マンションが多く計上された反動で、1戸当たりの平均価格と営業利益率が低下、減収減益となりました。
マンションの契約戸数は前期比638戸増の3,269 戸、完成済販売中戸数(竣工1年超)は611 戸(前期末274 戸)となりました。


【次期の見通し】
不動産販売事業は、マンション、戸建、宅地の合計で4,300戸(前期比+292戸)の販売計上を見込みます。
計上戸数の増加により増収となりますが、営業利益率の低下を見込み、営業減益となる見通しです。
なお、マンション、戸建の次期計上予定戸数4,200戸に対する契約率は、約15%(前期30%)となっております。
引き続き営業体制を強化して販売促進に努めます。


■大京(不動産販売事業) ※平成21年3月期 決算短信(平成21年5月14日リリース)
【当期の営業成績】
(前略)
営業利益はマンション販売の減収および売上総利益率が低下したことに加え、棚卸資産の評価に関する会計基準に基づき434億52百万円の評価減を実施したことにより、504億36百万円の損失(前年同期は278億63百万円の利益)となりました。
なお、マンション販売において完成在庫の圧縮に積極的に取り組んだことにより、当連結会計年度末の新築マンション未契約完成商品は379戸(前年同期は818戸)まで圧縮いたしました。


【次期の見通し】
(中略)
事業の種類別セグメントの見通しにつきましては、不動産販売事業において厳しい事業環境が当面持続することを見込んでおり、営業収入は2,090億円(前年同期比22.0%減)と減収になる見通しですが、経費削減等により収益回復を図ります。


【中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題】
当社グループは、収益と事業規模の拡大、成長を目指し、事業を進めてまいりましたが、不動産市場を取り巻く環境が想定をはるかに上回るテンポで大幅に悪化したことから、マンション分譲において販売価格の下落や建築コストの高騰が重なる等、事業収支の悪化に伴い大幅な損失を計上することとなりました。
こうした不動産市場を取り巻く現在の厳しい事業環境が当面続くことを想定し、当社グループは、フロー事業の中心であるマンション分譲事業の規模を市場規模に合わせて段階的に縮小するとともに、引き続き固定費の削減、広告宣伝費の圧縮など大幅な合理化、生産性向上により収益力を高めてまいります。


【マンション分譲事業のエリアポートフォリオの見直し】
全国展開しているマンション分譲事業のエリアポートフォリオを見直し、主たる市場である首都圏、中部圏、近畿圏の3大都市圏を一層強化することとします。
併せて固定費の削減、広告宣伝費の圧縮など大幅な合理化、生産性向上により収益力を高めてまいります。


■東急不動産(分譲事業) ※平成21年3月期 決算短信(平成21年5月8日リリース)
(前略)
マンションの計上戸数が減少するとともに粗利率が悪化、たな卸資産の評価損も97億円計上したことにより減収減益となりました。
販売については、分譲マンション市場の低迷により販売期間が長期化し、完成在庫が増加しておりますが、ローン減税や贈与悦の非課税枠拡大による政策後押しもあり、価格調整が進んだ物件では順調に販売が進む状況もみられるようになってまいりました。
マンションの次期売上予定に対する契約済み割合は40%(同△13%)となっております(単体)。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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