不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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旧価格を併記していない「価格改定」は“販促ワード”


本日、マンション広告2枚。

【本広告】大手町駅直通16分、駅徒歩10分。総戸数25戸、11階建。販売戸数27戸、1LDK+S(57.41m2)〜3LDK(75.37m2)。販売価格3,300万円〜4,690万円、最多価格帯4,500万円台。平成21年12月下旬竣工(本チラシ掲載日の6カ月後)。

環七沿いに建つ小規模マンション。


B4判チラシのオモテ面の怪しげなキャッチコピー。

地元限定販売を経て皆様のご要望により 価格改定を実施!

57.41m2 3,300万円より

頭金0円 毎月返済額 9万円台より

「価格改定」によって57.41m2が3,300万円になったようだが、改定前の価格はいくらだったのか?
チラシの端から端まで、目を皿のようにして探したが、改定前の価格など、どこにも記載されていない。


旧価格を併記せずに、「価格改定」という表現だけで、安さを演出しようというのは悪質ではないか。
穿った見方をすれば、改定前の価格を併記し得る「二重価格表示ルール」の適用を避けたということなのかもしれない。
すなわち、業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第14条(旧価格を比較対照価格とする二重価格表示)によって、改定前の旧価格(値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売していた価格)を併記するためには、「次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合」に限られるからだ。

  • (1) 旧価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。
  • (2) 値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。
  • (3) 建築後2年以内の建物であって、居住の用に供されたことがない建物について行う表示であること。



そもそも、価格改定前の「地元限定販売」って何なんだ?
本日のチラシの「販売戸数25戸」は、「総戸数25戸」と同数だから、「地元限定販売」を経て、まったく売れていないということなのか?


念のため、『マンション・チラシの定点観測データベース』を使って、このマンションの過去のチラシを確認してみたところ――。
昨年の10月17日に「Debut!」と記された、最初の予告広告が出されている。
この予告広告においては、販売価格は「予定販売価格/未定」とされていて、1カ月後の「平成20年11月上旬」の本広告で明らかにされる予定であった。


ところが、「11月上旬」になっても、12月に入っても、本広告は出されていない。
年が明けて、1月、2月になっても本広告は見当たらず、3月に入って出された本広告では、本日と同様、すでに改定後の価格しか掲載されていないのだ。


旧価格を併記していない「価格改定」キャッチコピーは、「二重価格表示」ルールの抜け穴狙いの“販促ワード”といえよう。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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