不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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サイレントな値下げ

9カ月前に竣工済みの小規模マンション。

【第1期本広告】大手町駅直通16分、駅徒歩10分。総戸数29戸(管理事務室1戸含む)、8階建。販売戸数8戸、1LDK(61.16m2)〜3LDK(71.76m2)。販売価格2,990万円〜4,290万円。平成20年6月竣工済み(本チラシ掲載日の9カ月前)。

  • ※11月1日(土)、12月18日(木)、12月21日(日)、1月10日(土)、1月22日(木)、1月27日(火)、2月7日(土)、2月22日(日)、3月1日(日)の物件と同じ。



新聞半紙大のオモテ面に名刺サイズのドでかい数字が並んでいる。

  • 南向き 角住戸/71m2超/3LDKタイプ
  • 2,990万円より

チラシ裏面には3つの間取り図のうち、2つには販売価格も表示されている。

  • Agタイプ 2LDK+S 71.76m2
    • 販売価格2,990万円
  • B2タイプ 1LDK 61.16m2
    • 販売価格2,990万円
  • Dwタイプ 3LDK 70.11m2

何か変ですね。
Agタイプ(71.76m2)もB2タイプ(61.16m2)も販売価格が同じ2,990万円なのだ。
専有面積の大きなAgタイプ(71.76m2)が、なぜB2タイプ(61.16m2)と同じ販売価格なのか?


『マンション・チラシの定点観測データベース』を用いて、Agタイプ(101号室)の過去の販売価格を調べてみた。
次のように販売価格が徐々に下がっていることが分かる(次図)。

  • 08年11月1日:3,898万円
  • 09年1月9日:3,790万円
  • 09年1月22日:3,390万円
  • 09年3月7日:2,990万円

この4カ月の間に908万円(23%)値下げされていたのだ。
http://d.hatena.ne.jp/images/diary/f/flats/2009-03-07.jpg



ただ、徐々に値下げされているという事実は、過去のチラシをひも解いて、はじめて分かったこと。
『マンション・チラシの定点観測データベース』を持たない一般の人には知り得ないことだ。


業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」では、旧価格を比較対照価格とする二重価格を表示することについては、厳しい制約を課しているのだが――。
密かに値下げ価格を表示することについては、なんら規制していない。
だからこのサイレントな値下げはルール違反ではない。


ただ、密かに値下げ価格を表示するにしても、既契約者であれば気づくかもしれない。
そうなると既契約者の反感を買うから、売主としては取りにくい作戦のはずなのだが。
竣工後9カ月経過して、まだ8戸(総戸数28戸の約3割)も売れ残っている状況にあっては、既契約者も今回の値下げ販売を見過ごすしかないだろう。

(本日、マンション広告3枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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