【第1期予告広告】大手町駅直通25分、駅徒歩7分。総戸数421戸、19階建。販売戸数未定、2LDK(68.95m2)〜4LDK(115.61m2)。販売価格未定。平成22年2月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年2カ月後)。
研究所の跡地に建つ大規模マンション。
B3判のチラシのオモテ面には足を組んでソファにたたずむ樋口可南子。
「敷地内にスポーツクラブ・医療施設・認可保育所を備えた複合型の街づくり」が売りのひとつとなっている。
外観完成予想図には、1階の角部に確かに区の認可保育所が描かれている。
ただ、物件概要に目を凝らすと、「認可保育所はマンションにお住まいの方が優先的にご利用いただけるものではありません」と注釈されている。
またですか。入園が確約されない、区の保育所不足解消に貢献しようという奇特な人向けの保育所付きのマンション。
なぜ、このようなマンションが生まれてくるのか?
区のホームページをひも解いてみた。
区議会定例会での区長の挨拶から興味深い経緯が確認できる。
- 平成18年第4回区議会定例会区長挨拶要旨(平成18年11月30日)
- ○○中央研究所跡地に建設を予定しております集合住宅を開発する△△不動産株式会社に、集合住宅内への保育施設の整備について要望をしておりましたが、平成18年9月に、同社から床面積約480?の保育園を整備する旨の回答を得ております。
- 本区といたしましては、□□地域の待機児解消のため、同保育園の平成21年4月の運営開始に向けて、今後、整備内容の詳細を確認するとともに、今年度中を目途に保育園運営事業者の決定に向けて準備を進めてまいります。
いまから約2年前(平成18年11月30日)、△△不動産株式会社(=本物件のデベロッパー)は、区の要望を受けて、マンション棟内に床面積480m2の保育園を整備することを約束していたのだ。
さらに、1年半前(平成19年6月12日)には、区は認可保育園を運営する事業者を決定し、来年度(平成21年度)の開設を見込んでいたのだ。
- 平成20年第2回区議会定例会区長挨拶要旨(平成20年6月12日)
- (前略)□□に建設中の集合住宅施設内の私立認可保育園の開設準備等に支援を行い、定員を拡大してまいります。さらに、「私立保育園分園整備助成制度」を制定し、待機児の多い▽▽地域に私立保育園の分園を整備することにより、効率的な解消を図ってまいります。
ところが、半年前(平成20年6月12日)の区長挨拶では、「開設準備等に支援」と言うだけで、過去2回に見られたほどの踏み込んだ表現は見当たらない。
今から約2年前、現在のマンション不況に陥るはるか以前に、区と取り交わした約束に従い、建設される認可保育所付きのマンション。
区にとっては、用地確保の苦労なしに、しかも少ない財政負担で保育所を確保できるメリットがあるのだが――。
住居以外の用途(保育所)が持ち込まれたことで、ただでさえ調整が難しいマンションの権利関係がさらに複雑化し、将来の大規模修繕や建て替え時に困るのは、入居者だ。
このような保育所付きマンションは、どのくらいあるのか?
新築分譲マンション情報サイトHome PLAZAに登録されている都・3県の全589件(12月6日現在)のうち、「保育施設・キッズルーム」を備えているのが43件。
その43件のそれぞれの物件のホームページをチェックしていくと、下記の4件が認可保育所(保育園)を備えていることが分かった。
- 物件名/場所(総戸数)デベロッパー