不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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定借マンションの安さに惹かれて契約する人ほど―

月額負担の内訳
建設会社の寮跡地に建つ中規模の定期借地マンション。

【本広告】大手町駅直通16分、駅徒歩4分。総戸数43戸、12階建。販売戸数8戸、3LDK(70.36m2)〜4LDK(95.06m2)。販売価格29,437,718円〜43,123,386円、最多価格帯2,900万円台。平成20年10月下旬竣工(本チラシ掲載日の今月)。

  • 5月31日(土)、6月29日(日)の物件と同じ。
  • 3LDK(70.36m2)2,900万円台より
  • 販売価格に加え前払い地代710万円台〜が必要となります。

B3サイズのチラシのオモテ面に記された、この販売価格。
なんとも、紛らわしい表現だ。
本物件は、定期借地マンションだから、前払いの地代を含めると、実質的に支払が必要となるのは3,610万円台〜。
「3,610万円台(前払い地代710万円台を含む)〜」とすべきでしょう。
チラシの裏面にいくと、胡散臭い「ご返済例」も並んでいる。

  • ご返済例
    • Bタイプ/3LDK・70.36m2
    • 販売価格 29,437,718円
    • 前払い地代 7,162,282円
    • 月々支払い地代 13,071円(月額)
    • 解体準備金 1,645円(月額)
  • 月々11万円台より ボーナス時0円 で購入可能!!

と謳ったあとで、ゴマ粒よりも小さな文字で次の表記が。

  • ※月々のお支払いには、他に、管理費・修繕積立金・インターネット使用料が必要となります。

「月々11万円台」で購入できるかのように思わせておきながら、「管理費・修繕積立金・インターネット使用料」も必要だという。
結局、いったい月額でいくら必要なのか?
返済例に記されたように、頭金360万円、変動年利1.375%、35年返済で試算すると、月々の返済額は99,031円となる。
これに地代13,071円と解体準備金1,645円を合わせると113,747円。
たしかに月額11万円台ではある。
でも、さらに管理費15,100円、修繕積立金5,630円、インターネット976円も加えると、135,453円。
月額13万円台に跳ね上がる。
定借マンションの購入費と月々の支払額の合計が、通常のマンションよりも安いとしても――。
定借マンションの購入時の安さに惹かれて契約する人ほど、月々の負担の重さに耐えていけるかどうか気になるところだ。
ちなみに、上記の試算例は、借入金利1.375%が35年間変わらない前提となっている。
仮に、金利が3%に上昇すると、月々27,969円負担が増加する(月々16万円台の負担だ)。
マンション・チラシの「返済例」は、鵜呑みにしないことが肝要だろう。

(本日、マンション広告4枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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