不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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外断熱工法へのこだわりが空回りしている物件

中廊下マンション


土曜日、マンション広告3枚。

  • 2007年6月16日(土)・6月20日(水)・7月15日(日)の物件と同じ。

【予告広告】大手町駅直通14分、駅徒歩8分。総戸数25戸、12階建。販売戸数未定、2LDK(63.51m2)〜3LDK(82.43m2)。販売価格未定。平成20年10月下旬竣工(本チラシ掲載日の4カ月後)。

幹線道路沿いに建つ、小規模な外断熱マンション。

  • 内廊下が演出する上質さと、角住戸率100%がかなえる開放感とが織り成す、ひとつ上の暮らし。
    • 雨風の影響を受けず、環境が一定。
    • 住戸内と温度が一定のやさしい設計。
    • プライバシーと安全を守る外部との結界性。

「結界」という教団内の僧が戒律を犯さないように一定の区域を制限するという意味の仏教用語まで持ち出して、内廊下の上質性を謳うチラシ。
上記の物件概要をみて、なにか気が付きませんか?
「総戸数25戸、12階建」
1階はエントランスや管理室など、共用施設しかないだろうから、
25戸÷(12階−1階)=2.3戸/階
というようにワンフロアあたり2.3戸と中途半端な数になってしまう。
外観CGをよく見ると、樹木に覆われた低層部は、道路に面した住戸は12階建てなのに、北側住戸は4階建てという変則的な形状をしていることに気づく。
さらに、チラシに記された次のデータ――

  • 建築延床面積/2,409.78m2(容積対象外面積416.90m2)
  • 敷地面積/498.34m2(建築確認対象面積)

これらのデータから、本物件の容積率を求めると次のようになる。
(2,409.78m2−416.90m2)÷498.34m2=399.90%
すなわち、準工業地域に建設中のこのマンションは、容積率の上限である400%ギリギリで設計されていたのだ。
狭い敷地に容積率の上限ぎりぎりまで住戸を詰め込んだものだから、中廊下を採用せざるを得なかったのではないか。
しかし、5階以上はワンフロアあたり2戸しかないので、わざわざ「雨風の影響を受けず、環境が一定」の中廊下を設けるのは、やりすぎだと思う。
狭い敷地に、容積率上限までに住戸を詰め込んだ結果、5階以上はワンフロアあたり2戸という、壁面の外部への露出面積の大きいペンシル型マンションになってしまっている。
マンションが戸建と比べて圧倒的に有利な点は、外部に露出する面積が少ないために防犯性能や省エネ性能が高いこと。
省エネ性と快適性を追求する外断熱工法。
ペンシル型マンションに外断熱工法は似合わない。


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