不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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販売価格に消費税額を併記すべし!

駅チカの小規模マンション。

【先着順広告】大手町駅直通16分、駅徒歩4分。総戸数23戸、7階建。販売戸数8戸、2LDK+S(73.11m2)〜4LDK(132.95m2)。販売価格5,008.58万円〜9,488万円。平成20年9月下旬竣工(本チラシ掲載日の5カ月後)。

  • 2月10日(日)の物件と同じ。

B3サイズのチラシ裏面に掲載されている4つの間取り図。

  • A-1 type/南西角住戸2LDK+S(73.11m2)5,068.58万円〜(税込)
  • nC-1 type/南東角住戸2LDK+S(81.81m2)5,388.58万円〜(税込)
  • D-2 type/南東角住戸2LDK+S(79.48m2)5,498.58万円〜(税込)
  • E-2 type/北東角住戸2LDK+S(78.52m2)5,008.58万円〜(税込)

これらの表示を見て、何か気が付きませんか?
ひとつは、分譲価格が百円単位まで表示されていること。
しかも、4つともすべて「.58万円」
一般的に、万円単位の分譲価格が多いなかで、なぜ100円単位まで価格設定されているのか? しかもすべて「.58万円」
5,068万円、5,388万円、5,498万円、5,008万円といったように、分譲価格の末尾を日本人好みの末広がりの8という数字で消費者心理に訴えようという戦略ならば理解できる。
さらに百円単位までの価格設定を“見せる”ことで、物件の値付けを丁寧に行っている印象を与えるのが狙いか・・・・・・。
「58」のご利益(ごりやく)のほどは、いかに。

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二つ目の気づきは、「税込」と表示されていること。
2004年4月1日から消費税の総額表示が義務付けられているので、たとえば、分譲マンションの税込価格が5,000万円の場合、次のいずれかのような価格表示しか認められていない。

  • (1)5,000万円
  • (2)5,000万円(税込)
  • (3)5,000万円(うち消費税100万円)

一般的には、(1)の表示が多いようだが、本チラシは、税込であることを明確化した(2)の表示が採用されている。

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さて、消費税の総額表示の件について、もう少し補足しよう。
不動産業界では、消費税の総額表示が義務付け(2004年4月1日)られるよりもずっと以前、竹下内閣により消費税が導入されたとき(1989年4月1日)から消費税を含んだ総額表示することを決めている。
そのときの考え方は、(社)首都圏不動産公正取引協議会の「価格の総額表示(消費税込みの価格表示)について」に詳しい。
長文だが、以下に抜粋しよう。

不動産業界では、消費税が導入された平成元年4月1日から2年間の期限付で「消費税についての表示の決定に係る共同行為」(表示カルテル)を締結し、これに基づき価格(賃
料を含む)については、消費税を含んだ総額表示をしてきました。
この期間中の共同行為によって、現在では販売価格に消費税が含まれていることが不動産業界の正常な商慣習として定着しています。
従って、不動産業界においては、いわゆる「外税方式」を採用した他の業種とは異なり、今回の消費税法改正に伴う総額表示の義務付けに関しては混乱なく受け入れられるものと
いえます。
価格については、これまでどおり消費税相当額を含んだ総額を表示すればよいのです。
総額表示に加えて、[1]消費税込価格である旨、[2]価格に含まれる消費税額、[3]税抜価格と消費税額を表示することなどは、より詳しい価格の内容を表示するものですから、これらの表示をすることは何ら問題ありません。

いまから19年前のこの取り決め。
消費税の総額表示に加えて「[2]価格に含まれる消費税額」を併記することが義務付けられていればどんなに、消費者の利益になったことか・・・・・・。
というのは、マンションの分譲価格のうち、建物には消費税がかかるが、土地には消費税がかかっていないので――。
「[2]分譲価格に含まれる消費税額」が開示されていれば、消費税額から逆算して建物代と土地代をそれぞれ知ることができる。

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具体的に計算例を示そう。

<新築分譲マンションの販売価格5,000万円(うち消費税100万円)の場合>

  • 建物価格:2,000万円(=消費税100万円÷0.05)
  • 土地価格:2,900万円(=販売価格5,000万円−建物価格2,000万円−消費税100万円)

このように新築分譲マンションの販売価格に消費税額が併記されていれば、建物の価格が分かる。
建物の価格が分かれば、m2当たりの建物価格も分かるから、建物の質の良し悪しも少しは想定できる。
今からでも遅くはない。新築分譲マンションの販売価格に消費税額を併記すべし!

(本日、マンション1枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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