不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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建築確認が未取得マンションの戸数を謳う広告

総戸数710戸の配棟
千葉県郊外に建つ、大規模マンション。

【予告広告】日本橋駅直通44分、駅徒歩5分。総戸数224戸、11階建・13階建。販売戸数未定、3LDK(70.65m2)〜4LDK(113.87m2)。予定販売価格2,400万円台〜4,700万円台、予定最多価格帯3,100万円台。平成21年3月中旬竣工(本チラシ掲載日の1年2カ月後)。

  • 街の風景を変える、○○ニュータウン最大710邸(※)のスケール。
  • 開放感に満ちた大きな中庭や共用棟を設えたランドプラン。

千葉県郊外のニュータウンに建つ、総戸数710戸の超大規模マンションのキャッチコピー。
ボーッと眺めていると気が付かないが、710邸の後ろに※印がある。

  • ※総計画戸数710戸は、East Square 327戸、West Square 241戸、South Square 142戸(South Squareは建築確認未取得のため予定戸数となります)の合計戸数を表したものです。

つまり、総戸数710戸というのは、「East Square」「West Square」「South Square」の3つのエリアに建つマンションの合計戸数ということだ。
では、本日のチラシで予定販売対象となっているマンション棟(224戸)はどれなのか?
「物件概要」には、次のように記されている。

  • 全体開発戸数(予定)/710戸 ※イースト・スクエア(第1工区)327戸、ウエスト・スクエア(第2工区)241戸、サウス・スクエア(第3工区)142戸(第1工区の一部、第2工区、第3工区は建築確認未取得のため予定戸数となります)
  • ※表示されている価格、専有面積、バルコニー面積等は、イースト・スクエア弐番館・参番館の全戸(224戸)を対象としています。

なるほど、予定販売対象の224戸は、第1工区に建設中のイースト・スクエアにあるマンション棟のうちの弐番館・参番館であることは分かった。
でも、イースト・スクエアの弐番館・参番館がどれなのか分からない。
鳥瞰図を見ると、CGでしっかりと描かれたマンションが5棟とワイヤーフレームで描かれたマンションが2棟ある。
各棟のワンフロア当たりの戸数や階数、配棟から、第1工区のピンク色の2棟(図参照)が予定販売対象住戸(イースト・スクエア弐番館・参番館)であることが推定できる。
それにしても、建築確認未取得の棟も含めて総戸数710戸を広告で謳うことは許されているのか?
宅建業法第33条では、建築確認取得前の広告表示を禁じている。
本日の広告は、建築確認取得済みの224戸の概要を表示しているとはいうものの、建築確認未取得棟についても、総戸数に計上したり、鳥瞰図に描画したりしている。
宅建業法33条が広告表示の開始時期に制限しているのは、次のような主旨からだ。

「計画実現性について法的な保障がない時点から販売広告をできるとすると、その広告・表示を見た消費者は、自分の期待した住宅・宅地の取得のチャンスを失うこととなり、他方、他の競争事業者は自己の顧客を失う結果となるおそれがある」
(不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会編「不動産広告の実務と規制 8訂版」より)

「○○ニュータウン最大710邸」を謳う前に、販売対象マンション棟がどれなのかを明確にすることが先だろう。

(本日、マンション1枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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