CG処理によって、実際に存在する建築物等を削除したり、存在しない建築物を描き込んだりすることは、現況に反する表示として禁止されている。
敷地に植えていない桜から花びらを散らせられるのか?
B3サイズの広告オモテ面に、建物の外観写真。
その外観写真の左端に、満開の桜でたわんだ枝がCG合成されている。
そしてピンク色の桜の花びらが、敷地内に舞っている。
敷地に植えていない桜から花びらを散らせられるのか?
広告裏面の「物件概要」には、次の注釈がある。
桜のイラストはイメージであり、実際には敷地内に桜はありません。
社団法人 首都圏不動産公正取引協議会事務局の編著による「不動産広告の実務と規制 (住宅・不動産実務ブック)」には、「完成予想図等」の項に、次のような見解が記されている。
苗木を植える場合に、完成予想図ではその樹木が成長した状態を予想して書くことが多いが、その旨と苗木が予想図のように成長するまでに必要なおおよその年数を付記する必要があろう。
敷地内に植えられた苗木の描き方についてさえ、慎重な取り扱いが求められているというのに。
本広告のように、敷地内に存在しない桜の木をCG合成で登場させるのは、論外ということなのではないか。
周囲の建物は省略できるのか?
「物件概要」には、さらにもうひとつ注釈がある。
周囲の建物等は省略してあります。
外観写真をよく見ると、建物の左隣に青い空が描かれている。
グーグルマップで上空からの画像を調べると、本物件の左隣には、しっかりと建物がある。
先ほどの「不動産広告の実務と規制 (住宅・不動産実務ブック)」の「完成予想図等」の項には、次のような見解が記されている。
最近、コンピューターグラフィク(CG)により物件の周囲の環境を含め完成予想図を作成し、これを掲載する場合があるが、航空写真を基に画像を比較的容易に加工処理できることから、実際に存在する建築物等を削除したり、存在しない建築物を描き込んだりするケースが見受けられるが、これの「現況に反する表示」に該当する。
実際に存在する建築物を削除してはいけません。
ということで、CG広告を鵜呑みにしないように。