イメージフォトは、和製英語。「image=姿・形」と「photo=写真」を合成した言葉。
実物の写真こそが「イメージフォト」ということができるのであって、実物と相当異なるものの写真の説明にはふさわしくない表現である。
イメージフォトがてんこ盛りのチラシ
都心に建つ2棟からなる大規模な超高層マンション。
チラシには、定期券サイズのイメージフォトが10枚掲載されている。
- 目玉焼きがのったフライパンの写真(オール電化のPR)
- 透明感のある水中を泳いでいる男性の写真(共用施設のプールのPR)
- 日本人ではなく、外国人の幼児らが遊ぶ写真(敷地内の保育施設のPR)
- 銀座4丁目の写真(銀座の老舗デパートとの提携サービスのPR)
- 魚・野菜のクローズアップ(敷地内に誘致予定のスーパーのPR)
- 品川300のナンバー・プレートのクローズアップ(品川ナンバーが取れる地域であることのPR)
- ICカードの写真(24時間セキュリティのPR)
- 花火大会の眺望写真(一部の住戸から東京湾の大花火を楽しめる眺望PR)
- 若い白人女性の顔のクローズアップ(住棟内に設けられるエステサロンのPR)
- ライトアップされた東京タワーを望む夜景(55階のスカイラウンジのPR)
東京タワーを望む夜景のイメージフォトに違和感
これらのイメージフォトをながめていて、ちょっと引っかかったのが最後の東京タワーを望む夜景だ。
この物件のホームページで紹介されている現地58階相当(194m)からの眺望写真とくらべて、ライトアップされた東京タワーを望む方向も違うし、チラシのイメージフォトのほうがより高い角度から見下ろしているように思われる。
このマンションは工事中なので、マンションの58階からの眺望写真を撮影することはできない。
現地付近の高層建物からの眺望写真をイメージフォトとして用いているのであれば、その旨の注釈が必要だ。
たとえ、イメージフォトとの断り書きを入れたとしても、実際のものよりも著しく優良なものと誤認されるおそれのある不当表示に該当するものとして禁止されている。
「イメージフォト」はより不当性の強い表示
イメージフォトの安易な扱いを抑制するべく、「首都圏不動産公正取引協議会」のQAには次のような記載がなされている。
そもそも、「イメージフォト」なる言葉は和製英語だと思われますが、「image=姿・形」と「photo=写真」を合成した言葉で、直訳するとある物体(実体)の形を写している写真という意味になります。ということは、実物の写真こそが「イメージフォト」ということができるのであって、実物と相当異なるものの写真の説明にはふさわしくない表現なのです。
言い換えると、「イメージフォト」との説明はこのような写真を掲出する言い訳にはならない、むしろより不当性の強い表示となると考えられます。
なお、実際の現地の空撮写真に物件のパースを合成して、その旨の説明を付したものを掲載することは問題ありませんが、建物のパースは、実際のものと大きさなどが異ならないよう正確に描く必要があります。
眺望重視で高層マンションを希望される方は、イメージフォトに惑わされることなく、自分が希望する住戸からの眺望を正確に理解したうえで、検討を進めることが肝要だろう。